ではなぜリオ五輪では、こうした過去の事例とは真逆の「価格破壊」が起きたのか?
宿泊価格崩壊の理由は複合的だ。総論としては、用意された宿泊施設数に対して見込み程の観戦客がこなかったために需給バランスが崩れたわけだが、その原因として次の5点が考えられる。
①観戦チケットが高すぎた
②ジカ熱とデング熱への危惧
③治安の不安
④開催都市による公式なAirbnbの活用で爆発的な民泊の増加
⑤安価なゲストハウス拡大と乱立
①~③については、仕方がない面もある。しかし、注目すべきは④の要因である。
リオ・オリンピックの宿泊価格崩壊は、前年比42倍増という、急激に増えたAirbnb民泊供給の影響が大きいのである。
Airbnbは、2016年リオ五輪公式オルタナティブ宿泊サービス提供企業(正式名称:Official Alternative Accommodation Service)として採用され、7月11日時点でオリンピック時のAirbnb民泊利用予定を発表していた。
それによればリオデジャネイロ在住民泊ホストは会期中、世界110か国以上から55000人以上の宿泊客を受け入れ平均で5泊する予定だと言う。内訳は、1予約あたりの平均宿泊料金は1泊約170米ドルで昨年の8月料金と比較した際の値上がりは平均で19%となる。また平均宿泊人数は3人としている。民泊ホスト全体の62%が五輪期間中に初めて宿泊予約を獲得した。直近の3か月間でリオデジャネイロの民泊ホスト登録件数は33%増加し、35000件が掲載中となっている。