ECB(欧州中央銀行)のマリオ・ドラギ総裁は、評価「B+」を獲得した。2011年11月、前イタリア銀行総裁であったドラギ氏がECB総裁に就任した後の評価は、2012年「B-」、2013年「A−」、2014年「A−」、2015年「A」、2016年「B+」となっている。
なぜ、2015年「A」評価であったのか?ECBは「2%以下であり2%近くにする」というインフレ・ターゲットを設定している。しかし、2014年に、原油価格の下落、中国経済の減速などに伴い、2年程度先のインフレ率が目標の2%弱に達しない可能性が高まった。そのため、2014年6月以降、政策金利の一部をマイナスとし、ユーロ通貨安を促した。ユーロ通貨安は、2015年の輸出増加に寄与し、ユーロ圏実質GDP成長率は+1.5%と、高い成長率となった。このように、ECBの金融政策がインフレ目標及び経済成長に寄与し、ドラギ総裁の2015年「A」評価獲得に繋がっている。
2016年「B+」へのダウングレードも、経済状況と関係していると思われる。ECBは現在、イタリアなど南欧諸国を中心に、景気低迷による銀行の不良債権拡大の懸念が強まっている。したがって、今後の金融政策およびインフレ目標、雇用、経済状況がドラギ総裁の評価に繋がってくる。