“NO BUSINESS, NO MUSIC.”――タワーレコードは生き残れるのか

米国本社が倒産後、日本法人はNTTドコモと7&i傘下に

 こうして日本で大きく成功を収めたタワーレコード、日本以外でも世界17カ国に展開するなど積極的な事業拡大を図ったのですが、89店舗を展開した米国本社では、1980年代半ばから、ウォルマートやベスト・バイなどの総合スーパーや家電量販店による、来店促進を兼ねたCDやDVDの廉価販売(定価販売を原則とする再販制度が無いため)で顧客を奪われ続けていました。  さらに、90年代後半からはAmazon等のインターネット通販にも侵食を受け、業績は大幅に悪化、遂に運営会社であるMTS社は2004年、2006年と立て続けに倒産へと追い込まれます。この流れの中で前述の通り、日本法人のタワーレコードは2002年にMBOによって米国法人から独立したわけですが、2005年にはNTTドコモが42%、2010年にはセブン&アイホールディングスが44.6%、それぞれ株式を取得して筆頭株主となり、2012年からは再びNTTドコモが50.3%まで株式を取得して子会社化し、現在に至っています。 第35期決算公告:6月1日官報96頁より 売上高:524億5500万円 経常利益:4億6600万円 当期純利益:2億2200万円 利益剰余金:△30億500万円 過去の決算情報詳しくはこちら http://nokizal.com/company/show/id/1130737#flst
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“NO MUSIC, NO LIFE.”と“NO BUSINESS, NO MUSIC.”の最適解はあるか?
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