「チャルメラ」「一平ちゃん」、ヒット商品を生んだ栄光の歴史から買収まで――明星食品、激動の現代史

平野健児

スティールによる創業者一族の持ち株買収から敵対的TOBに至るまで

 スティールといえば、リーマンショック以前の頃、ソトーユシロ化学工業といった企業を相手に敵対的TOBを発表して揺さぶりをかけ、増配を勝ち取ったり内部留保を吐き出させるやり方で荒稼ぎし、村上ファンドと並ぶアクティビスト・ファンドとしてその名を轟かせていたファンドです。この後に展開されるブルドックソース事件なども有名ですね。

 そんな攻撃的なスティールが明星食品の株式を手に入れたのは2003年、前述の通り経営から手を引いた創業者一族の奥井家から発行済株式の約10%に当たる411万株を1株300円弱(=約12億円)で買収したところから始まります。またこのタイミングで、この展開に村上ファンドも参戦、同様に明星食品株を大量に保持し、MBOの提案や株式持ち合いの解消、立地のよい本社ビルの有効活用、増配要求等で、様々な揺さぶりをかけて増配を手にしています。

 そして、スティールは増配を手にした村上ファンドから1株750円で352万株を買収、最終的に更に買い増して全明星食品株の23.1%に当たる1000万株弱(約55億円)を持つ大株主となります。ただ、この時点では社外取締役として派遣していたスティール日本法人代表の黒田賢三氏もそこまで強引な進め方を良しとしなかったため、比較的良好な関係だったようです。

 しかし、2005年末から度々MBO提案を持ちかけるようになり、2006年6月に黒田氏がスティール本社から実質的に更迭されると、スティールは一気に強硬策に出ます。10月27日にTOBを発表、10月31日に明星食品の経営陣がスティールへのTOBの応募見送りを株主に要請、敵対的TOBへと発展しました。

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宿敵とも言える日清食品がホワイトナイトになった理由
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