「チャルメラ」「一平ちゃん」、ヒット商品を生んだ栄光の歴史から買収まで――明星食品、激動の現代史

平野健児

バブル崩壊後のデフレ経済に向かう中、上場来初の経常赤字に転落

「一平ちゃん」シリーズの投入で、ようやくカップ麺カテゴリでも反撃の兆しを見せた明星食品でしたが、まだ兆しであり、1994年には1979年の上場後初の経常赤字に転落しています。これは、カップ麺でのヒット作が出せなかったことや米国進出の失敗等の影響もありましたが、小売りや卸売業界の拡大にともない、メーカー側の価格交渉力が相対的に低下、元々安価のカップ麺を更に安売りして目玉にするような広告手法も横行するようになり、単価自体が上がらない業界構造的な問題も孕んでいました。

 そんな状況下、明星食品はあくまで自主独立を掲げ、再び王者・日清食品に対抗すべく、工場再編等の抜本的リストラを進めます。また、その過程で創業家出身の取締役は次々と退任、1999年には創業者の長男である奥井順太郎取締役も退任し、創業家の役員は姿を消しました。このような流れを経た2006年、明星食品を経常赤字以上の衝撃が襲います。それが米国投資ファンド、スティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンド(以下、スティール)による敵対的TOBでした。

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スティールによる創業者一族の持ち株買収から敵対的TOBに至るまで
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