「成長の終わり」はやってくるのか? アメリカで話題の「米国の成長の盛衰」を読んでみた
仮に、現在私たちが不況下に暮らしているとするならば、好景気とは一体どのような状態を指すのだろうか。多くの人は、1980年代のバブルやそれ以前の高度経済成長期を思い浮かべるかもしれない。そして、リーマンショックから今日に至るまでの停滞もいずれ解消され、労働と消費の力強い循環が再び訪れる日を待ち望んでいることだろう。
そこへ、“そんな夢物語はもう二度とやってこない”と冷や水を浴びせられたら、あなたは怒るだろうか? それとも絶望するだろうか? しかし、それは嫌味でも皮肉でもない。受け入れざるを得ない現実としてやってくる―――。
そんな経済の行く末を予測した本が、アメリカで話題を呼んでいる。それが『The Rise and Fall of American Growth:The U.S. Standard of Living since the Civil War』だ。著者ロバート・J・ゴードン(マクロ経済学者)によれば、いわゆる“経済成長”は1870年代から1970年代に限られた現象であり、その爆発的な規模と伸びは、人類史において「たった一度しか起きない」ミラクルだったのだ。
かのポール・クルーグマンも、ゴードンの言う通りになるかどうかは別として、未来はこれまでとは全く違った形で現れるとの見解には共感を示している。
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