こうしたアメリカのスマートドラックの二次ブームがやがて日本にも波及する可能性は高い。業務における生産性の向上はあらゆるビジネスパーソンの命題であり、スマートドラッグがその解答のひとつならば、試してみたいと考えるのは決して突飛な発想ではないからだ。
しかしながら、日本ではいまだスマートドラッグの認知度は低く、“胡散臭い健康食品”と見なされる傾向がある。そこで本サイト記者が日本で入手できる主要なスマートドラッグ4種をそれぞれ1週間ほど試してみた。下記がその報告になる。
◯ピラセタム(市価:1箱30錠/約1400円)
1964年に開発された脳機能調整薬で、最も代表的なスマートドラッグ。脳の一部の血流量と酸素消費量を増やし、臨床実験において失語症や痴呆などの改善が確認されている。
今回、もっとも効果が体感できたスマートドラッグ。服用以前は複数のタスクを同時に抱えると注意が散漫になり、仕事と無関係のWebサイトをチラ見することがあったが、服用すると心の雑念や動揺が消え、明らかに処理できる仕事量が増えた。
◯アーカリオン(市価:1箱60錠/約2600円)
スルブチアミン(ビタミンB1の合成誘導体)を有効成分とするスマートドラッグで、日本でも比較的ポピュラー。記憶力と思考力向上の効果があるとされる。
スマートドラッグの口コミサイトでは「頭がパキっとして意欲的になる」「安心感が出て集中力が上がる」などの意見が散見されるが、記者の体感では、確かにやる気が出た気がしないわけではないが、明確に「ここが変わった」といえる変化はなかった。
◯チロシン(市価:1瓶120錠/約1400円)
アミノ酸の一種で、ドーパミン(意欲や快感のもととなる神経伝達物質)やノルアドレナリン(興奮を引き起こす神経伝達物質)の材料となる。
ピラセタムと同様、確かな効果を実感。劇的な覚醒感や興奮はないものの、頭の中のもやが消えて意欲が増加。服用以前はある作業から次の作業への移行の際にわずかな躊躇のようなものがあったが、それがなくなり、結果的に多くの作業をこなせるように。
◯アニラセタム(市価:1箱20錠/約6000円)
ピラセタムの強化版。その効果はピラセタムの数倍とも。
今回試したなかでは最も値段が高く、効果も高いと評判のアニラセタムだが、記者にはまるで効果がなかった。体質などによりスマートドラッグの効果は増減するが、口コミサイトでは「飲み過ぎるとずっとしゃべり続けてしまう」など驚きの体験談が多く見られるため、非常に意外な結果だ。
記者の体験が示すように、スマートドラッグの効果には明確な個人差がある。これがスマートドラッグの胡散臭さの源でもあるのだが、アメリカでは複数のスマートドラッグを組み合わせることでより確かな、より高い効果を得ようとするユーザーが少なくない。この行為は「スタック」と呼ばれ、長い月日をかけて膨大なスマートドラッグを試し、自分にベストの組み合わせを見つけ出していく。先出のデイヴ・アスプリーも長年のスタックの結果、15錠の“黄金比”にたどり着いたのだという。