「サードウェーブ日本酒」と称される日本酒、一体これまでの日本酒とはどう違うのか? 「All About」の「日本酒・ワイン・焼酎」ガイドで、日本酒きき酒師でもある友田晶子氏によると、以下の4つに要約される。
◆飲み手の食スタイルにあわせることを重視し、従来の精米歩合とは異なる造られ方をした日本酒
◆米由来のコクと旨味がありながらスッキリとしたきれいな味でワイン的な甘さと酸味がある
◆酒器は、お猪口ではなくワイングラスで提供されることが多い
◆洋食やチーズ、スイーツにもマッチし、若い女性や外国人にも受け入れられやすい
日本酒の歴史を紐解くと、数回の「波」を経て今回の「サードウェーブ」にたどり着いたと言えよう。
<第一の波>(1970年代~1990年代)は、戦後の大量生産・大量消費で、「酔っぱらうことを目的とした消費」からの脱却した時期であった。品質重視になり、吟醸酒・大吟醸酒に代表される、飲みやすくてフルーティな香味の地酒が全国に登場した。
<第二の波>(1990年代~2014年)は、フルーティな飲みやすさだけではなく、「米の酒」らしい濃醇な旨味かつ香り豊かで洗練された酒や熟成した酒が登場。ファッション性・プレミアム性が影響し、若者や海外からも注目され始めた。
<第三の波>(2015年~)は、長い間“洗練のものさし”であった「精米歩合」にこだわらない酒造りに挑戦する杜氏たちが現れ、過度なフルーティさは排除し、無濾過生原酒などのリッチタイプや低アルコールのソフトタイプまで幅が広がった。さらにワイングラスでも楽しめる酒として、これまでの概念にとらわれない酒が登場。その一方で、伝統手法である「生酛」への回帰もみられる。