12年に採用されたオーストラリアのプレーンパッケージ。なんとも陰惨なビフォーアフターである。
要は「タバコを吸ってるとこんなんなりますよ」という画像である。この画像入り警告は01年にカナダが世界で初めて導入され、14年までに77か国が採用しているという。講演で「理想形」と例示されたのが、タイのパッケージで、画像も併せた表示面積は85%にもなる。絵柄もかなりエクストリームで、いわゆる「グロ画像」と呼ばれる領域だろう。
「理想形」とされたタイのタバコパッケージ。ここまでくると、持ち歩くことがはばかられる……
イベントでは、画像が求められる一つの大きな理由として、喫煙の健康被害に関する知識は特に低所得者や低学歴者において低いから、という理由が挙げられていた。ザックリ言えば、「バカな貧乏人たちは文章理解力が低いから、絵で見せてやらないとわからんのよ」ということか。。。
そして、この画像付き警告をさらに進めたものが“プレーンパッケージ”だ。再度説明すれば、画像や文字による警告表示に加え、ブランド独自のデザイン(色やロゴ)などを一切排して、銘柄を一律の表示にするというもの。
プレーンパッケージはオーストラリアで12年から採用され、イギリスやアイルランドでも導入する法案が可決されている。その他多くの国々でも導入が検討されているという。
禁煙を進める側にとって、ショッキングな写真を見せることで購買意欲を削ぐという手法はわからなくもない。ただ、財務省の「財政制度等審議会たばこ事業等分科会」に参考人として出席した喫煙文化研究会事務局長の山森貴司氏は、プレーンパッケージについて次のように語る。
「自動車にたとえればわかりやすい。排気ガスのほうが人体により有害であることは医学的には常識です。でも、自動車を売る時に『あなたの出す排ガスはこれだけ健康リスクを高めます』なんて表示しますか? 商品である以上、購買意欲を削ぐような表示を義務付けるのはいかがなものか。嗜好品なんですから、パッケージデザインも含めて選ぶ楽しみもあるわけです。売る方も買う方も視認性が悪くなって混乱するというデメリットもあるでしょう」