外国人客急増に伴う「無資格ガイド」規制緩和は果たしてうまく行くか?

合格率2割の「通訳案内士」資格

 通訳案内士とは、観光庁長官が実施する国家試験「通訳案内士試験」に合格して、通訳案内士として登録した者のみが、観光客に対して外国語通訳及び観光案内を行って報酬を得ることができる資格である。現行、無資格者が報酬を得て外国人の観光案内業務を行うことはできない。2015年4月1日現在、通訳案内士の登録者数は1万9033人である。一方、無償で行うボランティアガイドは、現行でも無資格で問題ない。  通訳案内士試験の外国語の種類は、英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、中国語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、韓国語及びタイ語である。通訳案内士試験は、年齢、性別、学歴、国籍などに関係なく受験が可能である。  通訳案内士試験は、外国語、日本地理、日本歴史、産業・経済・政治および文化に関する一般常識の筆記試験(マークシート方式)と通訳案内実務の口述試験からなる。  2015年度通訳案内士試験には、1万975人が受験し、2015人が合格した。全体では、合格率は19.3%である。2015年度通訳案内士試験では、英語の受験者・合格者が多い。英語の合格者が1,822人(合格率21.5%)と、合格者の90.4%を占める。アジアの言語の合格者については、中国語86人(合格率7.2%)、韓国語40人(合格率12.4%)、タイ語4人(合格率7.8%)と少ない。(参照:平成27年度受験者数及び合格者 ※PDF注意)
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通訳案内士と訪日外国人のミスマッチ
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