長野県の県報「広報ながのけん46号」によれば、お土産関連予算額は総額6304万円とある。これはIOCが定めた「1人につきトータル200USドル(当時の為替レートで2万7千円)を超えない」という金額制限を大きく超えている。しかも複数回に及ぶおみやげの供与が行われており、招致委員会では土産を過去に贈ったものと重複しないよう、IOC委員別に贈呈品リストまで作成していたという。
7名の合同調査委員のうち、ホルスト・ソレンセン委員長は、調査が終わったあとも長野に残り、東京に残していた夫人と合流し、日光見学まででかけているが、この調査終了後の私的旅行の費用(約313万円)まで負担していたと報告されている。
ソルトレイクのスキャンダルは、この「接待攻勢」に負けたことへの「反省」によってなされたというのだ。
こうして過剰な接待攻勢を掛けて招致を獲得したとしても、果たしてそこの「経済効果」があるのかというとこれがほとんど負の遺産となっている。
長野五輪では巨額を投じて作られた新施設などが莫大な維持費が掛かるため負の遺産となっているのは有名な話だ。白馬村に新設されたジャンプ競技場のノーマルヒル施設などは、FIS国際スキー連盟のレギュレーション変更によって、長く国際大会が開催できない有様だった(2016年度にようやくFIS基準に対応する改修が行われる)。
果たして「ガーディアン」報道は今後どのような展開を見せるのか。国立競技場問題、ロゴ問題と大小の問題は一向に解決していないように思えるオリンピック。いったい、2020年以降の東京都民、そして日本人に何を残してくれるのだろうか……。<文/HBO取材班>