ロート製薬の“副業OK”が示唆する、古くて新しい働き方とは?
2016.05.12
会社員の兼業・副業をめぐる動きが活発化している。
3月11日に開かれた経済財政諮問会議では、経済学者の伊藤元重ら民間の有識者が「名目国内総生産(GDP)600兆円」達成策のひとつとして、「会社員の兼業・副業の促進」を提言。能力やスキルが高い人材が活躍できる場を拡大し、中小企業や地域企業における人手不足を軽減する。かつ、働き手としては複数のキャリアを積めるなどの観点から、兼業・副業をプッシュ。仕事を複数かけもちした際の雇用保険の扱いなどを改善し、ガイドラインを示すべきだとした。
この提言の中で「企業の中には兼業・副業を容認する動きもある」(経済財政諮問会議資料)と挙げられたのが、ロート製薬の「社外チャレンジワーク制度」である。同社は今年2月、社員の兼業を認める新制度を発表し、大きく報じられた。それもそのはず、100年以上もの歴史を持つ大企業が従業員の兼業OKを打ち出すケースは珍しい。
国が地域・業種・規模に偏りなく4513社を抽出し、行った調査によると、2014年の時点で「兼業・副業を容認する」と回答した企業はわずか3.8%。「兼業・副業を推進する」と回答した企業は皆無だった(平成26年度兼業・副業に係る取組み実態調査事業報告書)。
実は公務員と異なり、民間企業の場合は副業を規制する法律はない。しかし、これまで多くの日本企業が、従業員を業務に専念させるべく、就業規則で兼業・副業を制限してきた。そんな中、なぜロート製薬は“兼業解禁”に踏み切ったのか?
「社員ひとりひとりの可能性を広げ、多様性を高めるのが一番の目的です。社内での仕事とはまったく異なる現場に飛び込むことで、新たな知見やスキル、人脈も得られるはず。多彩な経験を持つ社員が増えるほど、企業としての強みにつながると考えているんです」(ロート製薬広報・CSV推進室)
1
2
ハッシュタグ