そもそも、韓国リニアは、何のために作られたのだろうか。仁川国際空港から有名な観光地があるわけでもなく、空港や航空、運送関係のオフィスがある島内を12分ほど走るのみで、観光客も一般的な韓国人も利用する実用性が感じられないからだ。
韓国鉄道に詳しい研究者は、「韓国はリニアや鉄道技術を海外への売り込み、日本や中国が力を入れている鉄道輸出へさらに力を入れようとしています。そのために韓国オリジナル設計や製造である点に強くこだわり、さらに世界で2番目(※)の商用化という順位も重要視しています。その理由は、この後に中国でのリニア開通ラッシュが控えているからです」
韓国リニアの乗り心地はどうであろうか、乗車してみた。
仁川国際空港と連結している空港鉄道の仁川国際空港駅の上にリニア駅はある。現時点は無料で乗車することができ、ボランティアと思われる60代くらいの男女がホームで乗車案内をしていた。
運行時間は、午前9時から午後5時まで1時間に4本ある。実際に乗車してみると、さすがに新しい車両なので清潔感があり、内装デザインも明るい。また、無人運転のため先頭車両へ座るといい景色が望める。また、数ミリではあるが浮いているので、スーと滑るように動き音は静か、走行も安定していた。
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明るい車内は空港関係者と思われる利用者も多い
ただ、筆者個人が浮上式リニアに慣れていないせいか、リニア車両がカーブへさしかかったり、対向車とすれ違うときには、落下恐怖を抱いた。
6駅、12分ほどで終点「龍游駅」へ到着した。ここには空港鉄道の車両基地があり、まだ未開業だが鉄道駅も計画されている。鉄道マニアなら足を運んでみる価値はあるかもしれない。
龍游駅から徒歩10分ほど歩くと海水浴場があり、周辺にはトランジット泊向けのホテルがポツポツ点在している。記者が以前、トランジット泊で利用したホテルも駅から徒歩圏内だった。だが、それ以外はさしたる物はない場所だ。もっとも始発が午前9時、終電が午後5時なので時間的にトランジット客が利用するのは難しく従来通りのホテルの無料送迎に頼ることになりそうだ。
龍游駅から徒歩で行ける海水浴場(2014年12月に撮影)
ちなみにこの日、確認できた最高時速は78kmだった。リニモが最高100kmなので、日本の在来線と同じくらいの速度となる。
車内では時速が表示されている