いつもよりも人通りが少ない別府駅前の商店街
高級旅館型・個人客が中心の由布院よりも客足減が深刻なのが、リゾートホテル型・団体客が中心で、海外客の比率も高い別府だ。
瀬戸内海に面した別府市では、熊本県に近い湯布院町よりも直接的な地震被害は少なく、別府温泉の中心駅であるJR別府駅前に降り立つと普段通りの街並みが広がっている。
しかし、目を凝らすと駅前の大型家電量販店はガラスが割れており、別府も非常に大きな揺れに襲われたことを実感させられる。そして、歩いている人自体は見かけるものの、いつものように大きなキャリーバックを持っている人の姿は少なく、多くが地元の人たちという印象だった(別府市は大分県第二の都市であり、別府駅周辺には多くの商業施設や飲食店が集積しているために地元客も多い)。
商店街で人気の海鮮料理店の店員は「今ならガラガラやけん、並ばんでもゆっくり食べられますよ。」と笑った。
駅近くの百貨店の地階には大型の土産品売場があるが、観光客の姿は少なかった。普段は外国人観光客の姿も多い1階・化粧品売場のそばには、急遽「防災用品売場」が設置されていた。
さらに、別府駅から2キロほど北側の「別府地獄めぐり」で有名な鉄輪温泉地区に向かうと、観光客の少なさが際立つようになった。
鉄輪(かんなわ)温泉の中心部「いでゆ坂」を歩く人はまばらで、普段の休日は行列ができることもある無料の足湯・足蒸し湯ですら、取材時には客が殆どいなかった。鉄輪温泉では、別府駅周辺の別府温泉地区よりも地震による建物被害が大きかったという。
普段は観光バスが並んでいる温泉ホテルの駐車場には、万が一の事態に備えて関西電力の移動電源車が待機していた。
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閑散とした鉄輪温泉の中心部「いでゆ坂」。右側にあるのは無料の足湯・足蒸し湯だが、客の姿はなかった。普段、観光客の密度が濃い地域になるほど人の姿が少なくなる
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