これまで、サウジアラビア政府の財政は石油に依存してきた。原油安が続けば、サウジアラビア政府の歳入は減少し、財政赤字の年が続くだろう。そんな中で、起死回生の策が世界最大の国営石油会社サウジアラムコのIPO(新規株式公開)である。2016年初から検討中であると話題になっていたIPOだが、今回の「ビジョン2030」で公式に明言された形になる。リヤドにあるサウジアラビアの証券取引所で行う方針であるが、時期は明示されていない。
ムハンマド副皇太子が、サウジアラビア政府の経済・開発評議会の委員長を務める。ムハンマド副皇太子は、サウジアラムコの上場時期は未定であるが、株価を元に算出される時価総額は、世界首位を争う米アップルや、グーグルを傘下に持つ「米アルファベット」の約4倍にあたる2兆ドル(220兆円)超を見込んでいるという。その内、公開して市場での売買の対象にするのは全体の5%未満になる予定。上場で得た資金などで成長分野に投資する。
さらに、アラムコ株を含む政府資産を政府系ファンド「パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)」に保有させる方針であり、政府系ファンドの規模が3兆ドル近い規模になり、実現すれば政府系ファンドは世界最大規模になる。原油安の中、PIFは新たな収益につながる投資先を探り、かつ、金融資産の積極的な運用により、「我々は原油依存症に陥っている。危険なことだ。サウジアラビアは2020年には石油がなくても生活できるようになる。」とムハンマド副皇太子は語った。
2015年、サウジアラビアは、株式市場を海外投資家に開放し、一定の基準を満たす外国の金融機関に直接取引を認めており、外国からの投資を歓迎するとしている。
(参照:
日経新聞)