ある被災者が語った、避難時にプレイ経験が役だったゲームとは?

「エンタテインメント」ながらしっかりした監修

 もちろん、同作品はあくまでもエンタテインメントであり、グランゼーラ代表取締役・最高経営責任者(CEO)・名倉剛氏は、今年2月に日刊工業新聞のインタビューに答えて次のように語っている。
“地震災害をゲーム上で再現し、災害で壊れた街を主人公が生き延びていくこのゲームについて、「災害の啓発という狙いがあるんですか?」と聞かれることも多いという。しかし名倉氏はあくまでエンターテインメントとして考えている。地震災害を扱った作品は映画やコミックにはある。でもゲームにない。「映画やコミックで災害をテーマにしても不謹慎だと言われないが、ゲームだと言われる。実際クレームのメールも来る」という。  当時はそのことを不満に思っていたが、今はそれでいいと思っている。「これだけ叩かれるなら、他の会社は災害ゲームに参入しないだろう。特に大手メーカーほど参入しづらい。グランゼーラは、創業目的の一つが、この災害ゲームを世に出すことだし、何よりもその覚悟で作った会社。災害ゲームを今後提供していく上でこれ以上の強みはない」”(出典:日刊工業新聞『ファンとの約束を果たしたい―災害ゲーム「絶体絶命都市」をもう一度この手で!』
 しかし、今回の地震でこうした声が上がったことからもわかるように、同作はエンタテインメントでありながらも、第三弾においては防災・危機ジャーナリストの渡辺実氏が監修を務めるなど、災害シーンや防災マニュアルについてはかなり役に立つ情報も盛り込まれた作品であったのだ。  ゲームというと何かと悪者にされがちな世の中だが、こうして災害時に役に立ったゲームがあることもまた、記憶にとどめておきたいと思うと同時に、第四弾の発売にも期待したい。 <取材・文/HBO編集部 photo by Jan Vašek (CC0 PublicDomain)>
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