「被災者無視」で進む原発事故復興行政に批判の声が相次ぐ

復興大臣の言う「福島の思い」は「福島県行政の思い」

 そして国と福島県が進める帰還政策について、長谷川さんは語気を強めて次にように話した。 「昨年7月10日に示された原発事故子ども・被災者支援法の基本方針改定案に『事故発災時より放射線量は下がり、避難する状況にない』との文言が盛り込まれました。  竹下復興大臣(当時)はその日の会見で『やっぱり基本的に帰っていただきたい、これは福島の強い思いでありまして、自主避難の人もそうでない人も原則として帰っていただきたい。帰らない人には帰らない人への対応を考えるのが福島県の立場』と話しました。  大臣が言った『福島』とはあくまで県行政のことであって、私たちではないのです」  同じく郡山市から都内に子どもと自主避難している星ひかりさんは、「私のような母子家庭はどうすればいいのでしょうか」と、住宅支援打ち切りへの不安を強めている。  来年4月以降も避難を続ければ経済的負担が増える。家計に余裕のない世帯にとっては、半ば強制的に帰還を余儀なくされる。
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「年間20ミリシーベルトを下回った」と言われても若者は帰ってこない
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