自身もそうしたメディアに関与してきた責任はあると前置きしつつ、彼はさらに「撮り鉄のみならず鉄道ファンは自分たちが“異質な存在”であることを自覚すべき」と話す。
「鉄道は鉄ヲタのためにあるわけじゃない。それに乗ってどこかに行こうとする人のために走っているんです。そして、普段から鉄道を利用している人にとっては、すべての光景が日常。そこに突如カメラを持って現れる鉄ヲタたちは、平穏な日常に割って入ってきた“異物”なんです。車窓を眺めていたら撮り鉄のカメラの砲列ってどう思いますか?『オレたち撮り鉄、文句あるか』といった態度で振舞っていたら、到底受け入れられないですよ」
最近は鉄道ブームと言われている。鉄道関連の書籍が多数出版され、テレビなどでも鉄道が取り上げられる機会は少なくない。その一方で相次ぐ撮り鉄のトラブル。「一部の人の問題行動」と続発するトラブルから目を背けるのではなく、当事者意識と謙虚な姿勢をすべての撮り鉄、さらに鉄道専門誌の製作者たちが持つことが、問題解決への第一歩になるのではないだろうか。<取材・文/境正雄>