X線天文衛星「ひとみ」 Photo by JAXA
JAXAでは、衛星が分解したと考えられる26日10時42分ごろよりもあとに、26日~28日までに3回、「ひとみ」からのものと考えられる電波を受信していることから、完全な形ではないにしても、一部の機能はまだ生きている可能性があるとし、引き続き通信の復旧にあたるとしている。
前回の記事でも触れたように、「ひとみ」はたとえ不規則に回転していても、形状や内部の液体の動きによって、ある一点を向いて回転する形に自ずと収斂するようになっている。すると、太陽電池に光が当たりやすくなるため、その電気によって通信装置のスイッチがONになり、通信が回復する可能性がある。
ただ、破損したことで衛星の形状が大きく変わっていたり、また内部の液体が完全に無くなったりすると、収斂までに時間がかかるか、収斂しない場合もある。
JAXAでは、現状「ひとみ」本体の正確な形状や回転の状況がわからないため、回転がいつ収斂し、そして通信できるようになるかの見通しは不明としている。
また、前回の記事の繰り返しになるが、今後通信が回復しても、「ひとみ」が天体の観測を続けることができるとは限らない。むしろ衛星が何らかの理由で壊れ、数メートル級の大きな物体が分離していることから、当初の計画どおりの運用ができると考えるほうが難しい。
しかし、1台でも観測機器が生きていれば、科学的成果を生み出せる可能性はある。また、今回のトラブルの原因が明らかになれば、今後開発される別の衛星の設計に活かし、同じようなトラブルが二度と起きないように対策を取ることもできるだろう。