50年以上前の道路計画が復活!? 残された自然や文豪ゆかりの地が消滅の危機

貴重な自然環境や文豪ゆかりの場所が失われる

今年1月には住民が都道計画案の現地を実際に歩いて観察した。「ムジナ坂」で住民の説明を受ける参加者

 また、開発を免れた貴重な自然環境も道路整備で損なわれる可能性が大きい。付近には地元で「はけ」と呼ばれる斜面(国分寺崖線)が延び、そこには今も雑木林が多く残されている。「はけ」の随所で湧き水があふれ、これらを集めて流れる野川は住民の憩いの場となっている。 「はけの自然については、小金井市も街づくりのマスタープランの中で保全する方針を示しています。けれども2本の都道ができれば自然が損なわれるのは確実。自分の代でそれを許すことは受け入れられない」と話すのは、「はけの自然と文化をまもる会」共同代表の安田桂子さん。会は都道計画案を受けて昨年末に発足した。  はけには文豪ゆかりの史跡もある。映画化されて話題を呼んだ戦争文学『野火』等で知られる小説家・大岡昇平が滞在した住居跡がある。その隣の「ムジナ坂」ほか一帯は大岡の小説『武蔵野夫人』の舞台として知られる。  ところが3・4・1号線は、これらに重なるように計画されているのだ。都道ができればこれらは失われる運命にある。Aさんは「地域の記憶が失われる」と危惧している。
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「都の事業なので何も言えない」としてきた市の姿勢に変化が
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