photo by dorianrochowski(CC0 Public Domain)
雨後の筍のようにさまざまなトレーニンググッズが登場し、流行ったかと思いきや廃れていく。
そんなサイクルが繰り返されているフィットネス業界だが、ロシアで400年以上前から伝わり、かつては旧ソ連特殊部隊におけるトレーニングでも採用されていた伝統的なトレーニング器具がいま、国を渡りアメリカの陸軍の教本にも組み込まれたり、元NAVY SEALDSの隊員も認めたほか一般市民にすらも効果絶大なトレーニングとして人気を博しているという。
そしていよいよ、日本でも注目され始めたという。
そのトレーニング器具の名は「ケトルベル」。
日本のケトルベル第一人者である松下タイケイ氏
ケトルベルにいち早く注目し、日本人として初めてRKCという元ソビエト特殊部隊教官が設立したケトルベルのトレーニング団体でインストラクター資格を取得した人物であり、最近、
『身体を芯から鍛える! ケトルベル マニュアル』(日貿出版社)を上梓したばかりの松下タイケイ氏は語る。
「ケトルベルとはやかんの形に似たダンベルのような器具です。鉄球にハンドルが付いているものといえばわかりやすいでしょう。300年前のロシアの事典にギラという名称で出ているほか、オスマントルコ皇帝のムラト四世が104キロのケトルベルで体を鍛えていた伝説もあります。歴史を遡ると少なくとも400年前には存在していたそうです」
そんな伝統を誇るトレーニング器具が、なぜかいまアメリカでは「Kマート」(アメリカの代表的なディスカウントストア)でも売っているほどポピュラーなアイテムになったのだろう?
「ダンベルやバーベルのようにバランス配分されている形状と違い、重量が一方に偏っています。そのため振ることで遠心力が発生し、体に重量以上の負荷を波及させるんです。スイング(ケトルベルの基本種目)を基本とする振る種目は大臀筋(尻)と広背筋(背中)、それぞれ下半身と上半身最大の筋肉を無理なく発動させます。ビッグ2の筋肉をまず鍛えておけば末端の筋肉群へも波及します。ケトルベルを振る動作を反復すると心拍数が1分あたり140回~180回以上まで瞬時に上がります。心肺機能向上効果があります。食事制約と合わせるとダイエット効果ものぞめます。こうした合理性がアメリカ人にもウケたんだと思います」