2011年のワインバブル以降、およそ5年間で「Liv-ex Fine Wine 100」は約30%下落した。
2011年以降、ボルドーワインの当たり年は無い。これでは、もしヴァンネットがまっとうにワイン投資をしていたとしても、リターンを上げることが難しかったことが推察される。
一方で、「Liv-ex Fine Wine 100」の2000年ごろの値は100ポンド程度であったので、10年間で3.5倍超になっており、長期的にはリターンは悪く無いと言える。なにしろ、この部分だけ切り取ればだが、米国株式ベンチマークS&P500の10年間で2倍よりもパフォーマンスが良かったのである。すなわち、2000年以降の10年間は、ワインファンドはダメだと言うのは正しくなくて、むしろ、パフォーマンスは株式よりも良かったのである。
この時ならば、まっとうに運営されたワインファンドも、プラスのリターンが得られていたのではないかとも推察される。
2016年以降、「Liv-ex Fine Wine 100」は底打ち、やや上昇に転じてきた。ワインの買い付け主体が中国人(中華系)であるとされているので、ワイン価格は、上海株式市場や原油などコモディティ価格と関連があるのかと思いきや、あまり関係なさそうな動きを示している。ワイン価格が上昇する明確な理由が今は見当たらない。しかし、現在はワイン価格に過熱感が無く、割高でもないので、さらに下落する蓋然性は低いとも言える。ワイン投資自体は欧州では比較的ポピュラーな資産運用法だ。日本では今回のヴァンネットの件でミソがついたものの、ワイン投資自体を否定するのはやや早計かもしれない。
<取材・文/丹羽 唯一朗 photo by
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