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2016年3月7日、ワイン投資ファンドの組成・運営会社ヴァンネット(東京)が、東京地裁に自己破産を申請、破産手続き開始の決定を受けた。債権者は530人以上、負債額は40億円(一人平均700万超)を超える見込み。取引報告の大部分、および、保管してあるはずのワインの在庫数も虚偽の報告がされていたことが判明した。ヴァンネットは、当初、税理士の北田朝雪氏と酒販店出身の高橋淳氏が運営し、2001年4月~2014年6月の期間に、総数25本のワイン投資ファンドを組成し、延べ1989人の出資者が総額77億4600万円を投資していた。
ヴァンネットの自己破産、破産手続き開始には伏線があった。昨年12月25日、関東財務局はヴァンネットに対して、関東財務局長(金商)第1577号の登録を取り消す行政処分を行っている。また、以下の業務改善命令が下された。
1)顧客に適切に説明し、問い合わせ等に対しても十分に対応すること。
2)会社財産を不当に費消しないこと。
3)運用財産について、顧客間の公平に配慮しつつ、管理を徹底するなど万全の措置を講じること。
4)上記の対応・実施状況について、完了までの間、書面により随時報告すること。
登録取消し、および、業務改善命令の理由は、以下であった。
●不正又は著しく不当な行為を行っている状況
“当社は、欧州等において将来値上がりが期待されるワインを買付け、当該ワインの売却益の一部を配当することを内容とする権利(以下「ファンド」という。)の取得勧誘を行っている。
当社から提出された報告書等によると、当社は、これまで複数のファンドの取得勧誘を行っているが、過去に償還を迎えたファンドにおいては、別のファンドの資金を流用することにより、実際の運用実績とは異なる高い運用利回りで償還金等を支払っていた。さらに当社は、こうした状況を認識しながら、新たなファンドの取得勧誘を行っていた。”
要するに、ヴァンネットは償還を迎えたファンドの配当金に別の出資者から募ったカネを充当する、いわゆる「
ポンジ・スキーム」と言われるMRIインターナショナルや安愚楽牧場のような自転車操業的な投資詐欺の手法だったという不正を行っていたと認定されたために処分され、自己破産、破産手続きに至ったというわけだ。