「中国人による日本炊飯器の爆買いが話題になりましたよね。最初は外国製品をむやみに崇めているだけだと思っていたのですが、詳しく研究してみると、確かに出来がすばらしいことがわかりました。第一にIH技術。内側を直接加熱することでむらがないんです。金属製の内側はハイレベルな熱伝導性能が求められます。第二に加圧。加圧することで香りが出て柔らかくなるんですよ。米を炊飯器の中で踊らせること。それで口当たりも栄養もぐっとよくなります。現時点では日本の炊飯器の技術レベルは中国をはるかに越えていますよ。」
これは中国の国会にあたる両会の個別会議において、中国スマホメーカーの雄「シャオミ」の創業者・雷軍氏が語った言葉だ。
シャオミはスマホ連携家電の開発に力を入れており、美的集団にも出資している関係。それだけに炊飯器の研究にも取り組んだのだろうが、改めて日本メーカーの技術力の高さに驚いたというわけだ。美的集団も3000元(約5万2000円)の高級炊飯器を販売しているが、ローエンド・ミドルレンジの商品とは違い、ハイエンドでは日本企業に太刀打ちできないのが現状なのだ。
都市部に住む中間層はゆとりを得た今、生活レベルを向上させたいと強く願っている。中国製の家電でも必要十分な性能を持っているが、それだけではなくもっと便利なもの、もっと付加価値が高いものを欲しがっている。その気持ちの現れとも言えるのがいわゆる「爆買い」だ。かゆいところに手が届く日本製品が評価されている今、美的集団は中産層に売れる高いブランド力と技術力を必要としている。
先行する業界トップのハイアールは今年1月、米ゼネラルエレクトリックの家電部門を買収した。追走する美的集団としても海外ブランドの買収は急務だったと言える。中国紙・華夏時報は、規模的には世界最大だったハイアールと2位の美的集団が海外ブランドを手に入れたことによって「世界家電業界に二強体制が確立した」と評している。