メルケルの移民政策に異を唱え、不気味に台頭する極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」

ナチス台頭を思い出すとユダヤ人団体

 一方、AfDの躍進に、ドイツのユダヤ人社会は脅威を感じているという。ユダヤ人中央委員会のジョセフ・シュスター会長は〈AfDの躍進に不安を表明〉している。また同氏はAfDが10%の得票率をもって支持率が上昇していることについて、〈1933年にナチスが政権に就く前のヴァイマル共和国で過激派が支持を集めて人気が上昇したことをユダヤ人組織の多くの者が思い出している〉と述べた。そして、〈「過大視しているように見えるかもしれないが、既に警鐘が鳴っているというのは事実だ」〉述べて事態の深刻さ強調した。(参照「Aurora」)  40%の国民がメルケル首相の退陣を望んでいるという現在のドイツ社会で、CDU・CSUの政権安定が崩れるとAfDが更に発展する可能性がある。移民問題の解決は見えず、ユーロ通貨に絡む問題も解消する様相はないことからすると、今後もAfDが台頭する素地は十分にある。果たして、ドイツは、そしてヨーロッパはどうなっていくのだろうか。 <文/白石和幸 photo by Metropolico.org on flickr(CC BY-SA 2.0) > しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
1
2
3