またAfDはユーロ通貨に反対し、マルクに戻すことを主張している。そして南欧諸国への補助金の提供などにも反対している。共同通貨の導入によって、ドイツの独自性が失われ、ユーロ加盟国への支援からドイツ国家そのものの経済が低迷することを恐れてEUの権限の縮小を要求している。そして、ユーロからの離脱も容易にすべきだとしている。
AfDが主張するこれらの提唱の背景には「どうして怠慢なギリシャにドイツ人が貯めたお金を提供する必要があるのだ」という考えに凝り固まったドイツ人を納得させるに充分なのである。
CDU・CSUを支持して来たドイツ人の中にはAfDに支持を鞍替えした者も多くいるという。同様に、SPDやこれまでどの政党にも納得せずに投票しなかったドイツ人がAfDを支持するという現象も起きているという。
特に最近AfDの動きがメディアでも盛んに取り上げられているのは3月13日に3つの州(バーデン・ビュルテンベルグ州、ラインラント・プファルツ州、ザクセン・アンファルト州)で州議会選挙が予定されており、AfDが議席を初めて獲得する可能性が濃厚になっているからだ。
ザクセン・アンファルト州ではAfDが議席数でSPDを上回る勢いだという。バーデン・ビュルテンベルグ州ではSPDが緑の党と連合政権を維持しているが、移民問題が深刻で中央政府の〈ショイブレ財務相にSPDの閣僚は同州の選挙を意識して同州政府への資金支援を要請している〉という。
SPDのガブリエル党首は大連合政権の副首相でもあるが、年初に「難民の入国を制限すべきだ」という発言をしており、メルケル首相の難民対策とは異なった姿勢を表明した。特にガブリエル党首にとっては、この地方選挙の結果次第では党首としての自らの進退をかけた選挙になるとも言われている。(参照「
Publico」)。