韓国政府が利用自粛を呼びかけた「北朝鮮レストラン」は本当に強力な資金源なのか?

経済規模からすれば結構な収入源なのは確か

客入りが少ないと目玉のステージショーを中止することも

 日本の国家規模で考えると18億円なんて大した金額ではないと思うかもしれないが、北朝鮮は国家規模が日本の500分の1程度と言われ、重村智計氏(早稲田大学教授)の『北朝鮮はなぜ潰れないのか』によると北朝鮮の経済規模は、島根県1県にも及ばないと説明している。  島根県の歳入は平成26年度で5360億円、ここ数年間を見てもだいたい5000億円前後となっている(島根県発表より)。雑な推計だが、単純に考えると、北朝鮮の歳入における約3%を北レスが占めていると考えられる。  日本の政府支出に占める防衛費の割合は約5%(SIPRI発表より)なので、そう考えると北レスは北朝鮮にとってかなり大きな存在だと言えるのでなかろうか。  上記シミュレーションは、北レスの主流である中国を想定してしてみたが、カンボジアのシェムリアップの北レスは屈指の人気店で、客席数も数百、連日のように賑わっているので売上自体の桁が違う。中国以外の北レスは総じて大規模で売上も多いと思われるので、実際には上記シュミレーション利益より多くの外貨を稼いでいると推計できる。韓国人客が多いのは、こうしたツアーで訪れる東南アジアなどの人気店なので、今回の韓国政府の呼びかけもまんざら意味が無いわけではなさそうだ。  とはいえ、主流であるはずの中国の北レスは閑古鳥が鳴いている。中国を訪れる外国人が減っていることも一因と思われるが、中国全体のレストランの味が向上、多様化し、サービスレベルも上がったため中国人客も減っていることも大きい。  しかし、売り上げが下がっても本国への上納金ノルマは課せられているので、一部の店舗では北朝鮮女性スタッフへ売春を強要しているなどのショッキングな噂がインターネットメディアへ載るなど中国の北レスは苦戦している状況にあるのは確か。  さて、今回の韓国政府による北レス自粛への呼びかけの効果のほどやいかに。 <取材・文・撮影/我妻伊都>
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