バルサの胸スポンサー、楽天ならず!? ペプシコに決定間近とスペイン紙報じる

photo by Börkur Sigurbjörnsson(CC BY 2.0)

 結局、楽天にはならないかもしれない。  何の話かというと、FCバルセロナ(以下、バルサ)の胸スポンサーの話である。  先日もお伝えしたように、バルサは2013年からカタール航空と契約していた。が、バルサの商売モラルを逸脱してより多額の契約を結ぼうとする姿勢にカタール投資庁は憤慨。2016-2017年からの契約更新を破棄することを決めた。そのため、高額年俸の選手を多く抱えるバルサは急きょそれに代わるスポンサー探しに動いた。世界から3社がその名乗りを挙げたという。日本の楽天とヨーロッパから1社そして米国から1社という情報が2月4日まで明白にされていた。  そして2月5日付、スペインでスクープを掴むのが上手い電子紙『ok diario』は〈「バルサが胸スポンサーにペプシコと契約を交すことが間近である」〉と報じたのだ。その契約内容はまだ明らかにされていない。しかし、ペプシコは今年から3年契約でUEFAチャンピオンリーグのグローバルスポンサーにもなっている。ペプシコは最近になってスポーツ分野に積極的にスポンサーとして乗り出している。実際に〈米国のバスケットNBA、アイスホッケーNHL、サッカーNFLのスポンサー〉になっている。また、バルセロナの〈メッシとルイス・スアレスもペプシコと広告契約を結んでいる〉。  なにせ3億2800万ユーロ(426億円)の負債を抱えているバルサである。胸スポンサーを早急に見つけることが必要とされていた。しかし、ペプシコとの合意を喜ばない人物がバルサの役員の中にひとりいた。カルレス・ビラルビー副会長だ。その理由というのは、彼の夫人ソル・ダウレーリャがコカコーラのヨーロッパ部門のトップなのである。ライバルのペプシコがバルサのスポンサーになるということを受け入れることは彼の夫人の手前もあって容易ではないのはわからぬでもない。  いずれにしても、カタール航空との契約で今後4年間で240億ユーロ(3兆1200億円)の収入が見込まれていたのがキャンセルとなった痛手は、多額の負債を抱えているバルサにとっては深刻だ。2014-2015シーズンの〈収入総額は6億800万ユーロ(884億円)、支出総額は5億8100万ユーロ(755億円)。支出総額の内の3億5200万ユーロ(458億円)は選手に支払う年俸〉であった。その比率は収入総額から見ても高い率だ。(参照:「El Mundo」 )  しかも、ネイマールには次期契約の更新で〈4200万ユーロ(54億6000万円)に増額し、税引き2000万ユーロ(26億円)〉にすることをバルサのフロントが約束したという。(参照:『ok diario』)。  果たして、ビラルビー副会長は、妻の反対を押し切ることができたのか。それとも『ok diario』のトバシなのか。正式決定はまだだが、バルサにとっては背水の陣であることは言うまでもない。 <取材・文/白石和幸 photo by Börkur Sigurbjörnsson on flickr(CC BY 2.0)> しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身