とんでもマネー話に騙されないための3つの条件/ライフネット生命CEO・出口治明氏が語る
働く君に伝えたい「お金」の教養: 人生を変える5つの特別講義」(ポプラ社)が、それだ。
世に出回る「マネー本」の大半は基本的に、「どうすれば収入が増えるか」と「どうすれば支出を減らせるから」の2種類しかない。株、FA、不動産などの投資術や、アフィリエイトやセドリなどの副収入術の本は、「収入を増やす」分野。賢いローンの返し方や節約生活などの本は、「支出を減らす」分野だ。本屋にうず高く積まれた「マネー本」は多種多様に見えて、基本的にはこの2種類しかないのだ。
しかし、出口治明氏の本は違う。
まずお金を「知る」ことと「使う」ことから始まる。しかも「お金は使うことにしか価値はない」とまで断言する。「ちょっとでも儲けてやろう」「ちょっとでも出し渋ってやろう」と言った貧乏臭さが一切ない。「お金を知って、楽しめ」というのだから、「お金の教養」というタイトル通りの内容だ。
そんな異色のお金本を出した出口治明氏に「お金の教養」とは何かを聞いた。
「僕は歴史オタクなのですが……」という雑談を挟みインタビューは始まった。
「5500年前のシュメールの遺跡から、『商売人の言うとおりにやったら大体損するだけ』『いい買い物をするためには自分でちゃんと勉強すること』などという内容の粘土板が、たくさん出ています」
お金の話を聞きに来たはずなのだが、シュメールの話題に。どういうことなのだろうか?
「まず知っておくべきなのは不安を煽って商売する人が多いということです。例えば今なら『年金は破綻します』などというのはよく聞きます。そう言われたら、金融商品を買おうという気になりますので。ですから世の中に流布しているお金の話の多くは『トンデモ話なのではないか』という意識を持つことが大切です」
つまり、シュメールの昔から商売人は不安を煽るものと相場が決まっているのだから、扇情的な「マネー本」は相手にするなと出口氏は言うのだ。
「今の日本は55兆円ぐらいの税収で96兆円使っています。なぜこれができるかというと国債があるからです。国債が出せる限り、年金は払えるのです。ということは年金が破綻するときは、国債が紙くずになっている時。誰も国債を買ってくれない時に、年金が破綻するのです。ただ、国債を抱えているのは金融機関です。ですから、年金を払えなくなる前に、金融機関は全部破綻して、市民の預貯金は全部紙くずになっているはず。近代国家では、国より安全な金融機関は存立しえないのです」
と、出口氏は「年金不安」を煽るマネー本を一蹴する。その種の本は不安を煽って金融商品を売りつけようとしているに過ぎないというのだ。
「要するに、『自分で勉強しないとあかんで』ということなんです。シュメールの昔からわかっている人間社会のファクトを知るということ」
これが出口氏のあげる「お金の教養」、第一のポイントだ。
お金が嫌いな人は、まず、いない。
露骨に言葉にするかどうかは別として、誰しも、お金には興味がある。
どの書店でも、お金にまつわる本が山のように積まれている。投資術、老後資金の蓄え方、節約術、マンションローンの賢い組み方……。うんざりするぐらいお金の話ばかりだ。こんなにお金にまつわる本が出版されるのも、世間の人々が皆、多かれ少なかれお金に興味があるからだろう。
こうした「マネー本」ブームの中、先日、一冊のユニークな本が出版された。
ライフネット生命保険株式会社 代表取締役会長兼CEOによる「
お金の教養その1:人間社会のファクトを知る
『働く君に伝えたい「お金」の教養: 人生を変える5つの特別講義』 若手社会人必読! 20代のための、まったく新しいお金入門書が誕生! |
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