米大統領選で躍進する「極右」トランプと「極左」サンダースが示す「挑戦者ポジション」の可能性

 ここで思考実験として、いよいよ参院選まで約半年となった日本の各政党のポジショニングをこのマトリックスに当てはめてみよう。 ⇒【資料】はコチラ http://hbol.jp/80331/%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ae%e6%94%bf%e5%85%9a%e3%83%9e%e3%83%88%e3%83%aa%e3%82%af%e3%82%b9  およそこのようになるのではないか。  日本で唯一、反緊縮路線を明確に打ち出していると言っていい(反緊縮という言葉を使っている形跡はない)日本共産党は、左側に属するが、やはり強固な党組織と「老舗」ブランドが売りの一つであるわけで、第二象限ということになろう。  自民党も当組織と「老舗」ブランドに支えられているものの、路線は、芸のない緊縮路線だから右上の第一象限。  情けないのは、その他の野党だ。民主党も維新系会派もことごとく、緊縮路線。さらにこうしてみると、「おおさか維新」などが主張する「既得権益破壊路線」と「緊縮路線」の合成物がとても奇妙なものだということが際立つだろう。こんな奇妙でそして少し冷静に考えれば世の中からカネの流れを奪い社会の活力を奪うことが明白な立ち位置を占める政治勢力など、アメリカにもその他の先進国にも存在しない。トランプやサンダースが属する第三象限が「挑戦者」象限ならば、維新系の各派が属する第四象限は「サディスト」象限ともいうべきだろうか。  また、日本の政治空間では、この「挑戦者」象限に位置する政党がないことがよくわかる。この象限には、競合者が居ない。そして、サンダースやトランプがアメリカで人気を博している事実が示すように、さらに言えば、同じような立ち位置のスペインのポデモスや、カナダのトルドー政権のように、この象限こそ、先進国の政治空間における「トレンド」と言ってもいい。  時事通信社の最新世論調査によると、支持政党なしと答えたいわゆる「無党派層」は今や6割を超えている。(内閣支持45.2%に=4ポイント増、日韓合意評価-時事世論調査 時事ドットコム 2016年1月15日)  もっとも支持率の高い自由民主党でさえ、支持率はわずか25.6%日本の有権者が今の日本の政党の立ち位置にどれも満足していないのは明らかだ。  で、あるならば。  各政党ともに、サンダースやトランプの人気が示すように、スペインのポデモスや、カナダのトルドー政権の人気が示すように「反緊縮・反既成政党」の第三象限へ軸足を移すべきなのではないか?  無党派層が6割を超えたのは、有権者の無関心が原因ではない。相も変わらず芸のない緊縮路線や新自由主義路線ばかりを争点にし、若年層を置き去りにした政策議論ばかり繰り広げる、日本の既成政党の怠慢こそが、無党派層を生んでいるように思えてならない。 <文・図版作成/菅野完(Twitter ID:@noiehoie photo/(Sanders)AFGE on flickr(CC BY 2.0)、(Trump)Gage Skidmore on flickr(CC BY-SA 2.0)>
すがのたもつ●本サイトの連載、「草の根保守の蠢動」をまとめた新書『日本会議の研究』(扶桑社新書)は第一回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞読者賞に選ばれるなど世間を揺るがせた。メルマガ「菅野完リポート」や月刊誌「ゲゼルシャフト」(sugano.shop)も注目されている
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