◆「ディープステーツ」
◆「シオンの議定書」
◆「イルミナティ」
◆「ニューワールドオーダー」
それぞれ
世界はある秘密の勢力が牛耳っているというパラノイアのバリエーションである。この手の陰謀論の歴史は古くからあり、有名なところではユダヤ資本が世界を支配しているというものになるだろう。しかし、最近では様々な陰謀論が合流し、もはや収拾がつかないくらいの荒唐無稽なものになり果てている。
ちなみに、このへんのキーワードが出てくる投資話が流行中と聞きます。これもまた要注意。暗号通貨などとセットに出てきたら、まずは疑ってみるのが賢明。気をつけてほしい。
◆「地球平面説」
アメリカではこれを信じる人は「
フラットアーサー」と呼ばれています。地球は円盤のようになっているという説で、その果ては南極や北極の氷があって進めないらしい。
これも別に人畜無害じゃね?と思っていたが、どうやらユダヤ陰謀論やQと最近では結びついているらしく……。政府の言うことはウソであるという懐疑の果てにたどり着くのがこういうところなようである。
◆「爬虫類人、人類征服計画」
そんなもん信じてもらっても別に危険ではないのでは?と思われる方もいらっしゃるだろう。自分もつい最近まではそう思っていた。ところが、昨年のクリスマスに起きた、アメリカの
ナッシュビルの爆破事件の犯人がどうやらこの爬虫類人を信じてしまっていた人のようで・・・。
この爬虫類人、日本ではずいぶん前から日本の一部の好事家にはよく知られていたのだが、それはかつて新左翼のカリスマと言われていた
太田龍という人がこれにハマってしまっていたからである。
新左翼活動家から反差別活動家やエコロジストを経て陰謀論者へと昇華されていくコースは、ちょっとした
定番のキマリ方でもあるのだが、それにしてもあの新左翼の有名イデオローグが、爬虫類人が世界を支配していると言い出したのは、その業界では
どう言っていいのか皆わからなくて困惑する事態となった。
これを書くにあたり、この爬虫類人陰謀論の教祖デーヴィド・アイク著/太田龍監訳の大著『
爬虫類人(レプティリアン) 大いなる秘密』(三交社)の上下巻を取り寄せ、読もうとかんばりましたが、20ページくらいで断念してしまった。本当に申し訳ない。
なお太田龍は『
日本人が知らない「人類支配者」の正体』(ヒカルランド)という本を、あの船井総研総帥の船井幸雄氏と共著で出されてもおられる。この船井氏もいろいろとキツイ方である……。
◆「セレブ御用達のペニスフェイシャル」
◆「アドレノクロム」
◆「悪魔崇拝者が幼児虐待」
◆「火星に子供を性奴隷にしている植民地がある」
◆「ウェイフェアゲート」
ハリウッド女優の大御所
サンドラ・ブロックや
ケイト・ブランシェットなどが使っている美顔療法、通称「
ペニスフェイシャル」が一時期話題になった。ペニスの包皮からとられた成分からつくられた美容成分を肌に施術するというものというのが、サンドラ・ブロックのトークバラエティショーでの説明。これが大きな話題になったばかりか、陰謀論者をも吸引したのである。
なぜこれが陰謀論に関係があるかといえば、歴代の定番の陰謀ネタに、
特権階級の人間はどこからか誘拐してきた幼児を、常日頃から組織的に虐待しているというものがあり、そればかりか、
若返りのための養分として食べたり、そのエキスを美容注入しているというものがあるからだ。
さっそくほら見たことか!と陰謀論者はハリウッドセレブがディープステーツやイルミナティの一員であるという妄想につなげていったわけである。幼児たちを誘拐して自分達の慰めものにしているのはセレブたちだ!ということです。これは
Qアノンの主張でもある。
例えば「
アドレノクロム」というのは若返りの成分として一部で注目されているものだが、この言葉で検索すればわかるとおり、様々な陰謀論のターゲットになっている。この成分は、幼児を拷問などにかけて虐待し、それでホルモンを分泌させて抽出するらしい。それをセレブは美容に使っているという由。
さて、サンドラ・ブロックの「ペニスフェイシャル」の実際は、韓国の幼児からとられたペニスの包皮から培養されてつくられた成分の一部が入っているもの。韓国は割礼が一般的なので入手しやすいというのはあるかもしれないが、別にそのものズバリのものが入っているわけではない。あくまでも培養される最初の細胞がそれということ。
これをペニスから出来た成分と言ってトークショーでオモシロネタとして話してしまったのが良いのか悪いのかわからないが、世界を支配する勢力は恐るべき幼児虐待を日に日に秘密の場所で行っているという妄想にさらに確信を与えてしまったと言う罪はあるのかもしれない。
「
悪魔崇拝者が幼児虐待」をしているというのも、このひとつだ。さらにイマジネーションに拍車がかかると「
火星に子供を性奴隷にしている植民地がある」という説に至るわけである。別に火星じゃなくてもいいと思うのだが、どうなんだろうか。
なお、さすがに火星が出てきても現実感がさすがにないだろうという人のためには「
ウェイフェアゲート」というのもある。
アメリカの家具の通販業者の
ウェイフェアが、実はそのビジネスの陰で、タンスやキャビネットの中に子供を隠して児童売買しているという説だ。子供たちは人身売買される前に窒息したりしないんだろうか。
ちなみに、この陰謀論が出てきた理由のひとつは、
販売されている家具の商品名に人の名前っぽいものがつけられていて、それが行方不明の子供の名前と同じということらしい。
そんなわかりやすいことしないと思うんだが、普通。