「日韓の間には歴史認識の違いなど、いまだに摩擦は存在しますが、日本においては若者を中心にK-POPが牽引する第4次韓流ブームが巻き起こっています。K-POPは日本をはじめとするアジア諸国だけではなく、ヨーロッパ、アメリカ大陸に渡り、世界的に広がりを見せています。(筆者中略)この度、開設するK-POPエンターテイメントコースは、日本語だけではなくコリア語(韓国語)・英語などの多言語を駆使し、また、異文化を理解し世界で活躍するアーティストや創造的現場で能力を発揮できる人材の育成を目指します」
(コリア国際学園プレスリリースより)
同学園の理事長である金淳次氏はこのように言う。
「歌やダンスも勿論であるが、世界的な広がりを見せるK-POPの世界で活躍するためには言語を習得し国際感覚を体得することが重要です」
確かに、日本に活躍の場を求めた第3次韓流ブームの代表格と言われる、少女時代やKARA、東方神起のメンバーは、日本語の習得を徹底的に行ったと言う。K-POPの世界に飛び込むのであれば、韓国語はもちろんのこと、英語の習得も必須であり、コリア国際学園が言う最大の強みは、エンターテイメントの授業のほかに徹底した言語教育を行うことにある。
2021年から新たに開設されたK-POP・エンターテイメントコースには何人の学生が入学したのか?
「今年のコースの新入生は12人です。中高一貫の学校で全校生徒は69名(中等部19名、高等部50名)。小さな学校ですが、K-POP・エンターテイメントコースの反響はとても大きい」(金理事長)
学園側も、時流に即したコースの新設による学生数の増加に期待を寄せている。しかしその期待は、学園の苦しい経営状況と表裏一体でもある。
「例えば関西には、4つの韓国系インターナショナルスクール(京都国際学園、金剛学園、建国学校、コリア国際学園)があるが、本国や日本から援助を受けていないのはコリア国際学園だけなのです。コリア国際学園は日本の方々を始め、多くの方々の支持賛同・協力を得ながらも、その運営費用の多くは、在日コリアン2世の方々の寄付でまかなわれています。生徒数が増えなければ、学校の維持は難しくなる」(同)
果たして、コリア国際学園が新設したK-POP・エンターテイメントコースは、日本に住む若者たちの夢を叶える跳躍台となり得るのか。甲子園に韓国語の校歌が流れる時代、小さなインターナショナルスクールの、小さくない希望に注目したい。
<取材・文/
エリオット根須>