写真はイメージです。photo by shutterstock
世界各地で再び感染者が増加している新型コロナウイルス。ワクチン摂取が進まないまま、自粛疲れなどで街に繰り出す人々、次々と発生する変異株など、課題は山積みだ。
新型コロナウイルス発生から一年以上たち、全世界では約
278万人(3月29日時点)が死亡するなど、脅威は治まる気配がない。
しかし、こんな状況でも
コロナの危険性を訝しがる人は少なくない。
海外駐在員として
欧州某国で働くKさん(男性・30代)もその一人だった。自らがコロナに感染してしまうまでは……。
「会社の同僚など、
周りにも感染者は出ていましたが、自分が感染するまでは『
ちょっとしんどい風邪』ぐらいかと思っていました。『
せいぜい、インフルエンザぐらいだろう』と」
コロナは風邪……。残念ながら、Kさんに限らず、こういった主張は世界中で見られる。だが、一度自分の体調に異変が起きてからは、
「風邪」どころか命の危険を感じたという。
「突然、
悪寒と節々の激痛に襲われて、『
きたな』と思いました。
吐き気もスゴく、すぐにコロナだとわかりました。最初に症状が出始めたのは、夜23時ごろ。その日は寝たのですが、体の怠さが取れず、朝会社にメールを打って休みをいただき、
PCR検査の手配をしました」
すでに、体調は最悪の状態。だが、これは長い苦しみの始まりに過ぎなかった。
妻と
子どもの3人暮らしのKさんは、外国語での手配が難しいことから、会社の総務に検査を依頼。異国の地で、悪寒や激痛に苦しみながら、検査会場へと向かったという。
「駐車場に
仮設の検査所、コンテナのような施設が設置されているので、家族全員で車に乗って向かいました。その日は、
あいにく雪が降っていて……。雪が降りしきるなか外で検査に並んで、
地獄でしたね」
翌日、結果が出るとKさんのみが
陽性。こうして10日間の隔離が始まった。
「こちらでは
隔離中の家には警察官がパトロールに来るのですが、感染者が増え過ぎているせいか、私が外国人だからか、ウチには一度も来ませんでした」
体は激痛に苦しみ、意識は朦朧……。そんな状態で隔離生活を過ごしていたKさんだが、さらなる試練が襲いかかる。
「
最初の6日間は一ミリも症状がよくなりませんでした。熱は37度ぐらいだったんですが、悪寒が取れずに、ずっと寒い。
いい兆しがまったくなかったんです」
「
コロナは風邪と同じ、最初を乗り切ればなんとかなる」。そう思っていたKさんだが、
現実はそう甘くなかった。