文化芸術継続支援事業の不交付・取り下げの実態。吉良よし子議員、「遡及してでも救済」答弁の引き出しに成功

吉良よし子議員

吉良よし子議員(筆者のYouTubeチャンネルより)

再び吉良よし子議員が文化芸術の支援について質問

 文化芸術関係団体の積極的取組等の必要経費を支援する「文化芸術活動の継続支援事業」。3月15日の参議院予算員会で共産党・吉良よし子議員の質問をきっかけに、審査中の約8000件のうち約6000件がわずか1週間で不交付決定されたことが明らかになり、文化芸術関係者から多くの批判の声があがった。 〈*3月15日の質疑の詳細については、過去記事「文化芸術支援、1週間で不交付6000件! 笑いながら「対象外」と言い放った萩生田文科大臣の文化芸術への無関心ぶり」参照〉  この質疑から1週間後の3月22日、参議院 文教科学委員会で再び吉良よし子議員は文化芸術の支援について約20分間にわたって萩生田光一文科大臣らに質問。あたかも申請者側に問題があったかのような答弁を続けてきた文科大臣や文化庁に対して、どれも耳を疑うような不交付・取り下げの実例を5点ほど紹介し、最終的には萩生田大臣から改善に向けた3つの答弁を初めて引き出した。  本記事では、その内容を抜粋しながら紹介していく。 〈*参照:「【全文 文字起こし】 参議院文教科学委員会2021年3月22日 吉良よし子議員vs萩生田文科大臣&矢野次長(文化芸術活動の継続支援事業)」、youtubeチャンネル「赤黄青で国会ウォッチ」〉

あまりに杜撰な「不交付・取り下げ」、5つの実例

 まず、吉良よし子議員が紹介した不交付・取り下げとなった申請者の実例は以下のようなものであった。(質疑映像は動画の0分34秒~) <実例1:事前に申請可否を確認していたのに、長期間放置した後に取り下げを強要> 【経緯】 ・2020年7月:本当に支援対象になるか不安だったので事務局に問い合わせて、「申請して良い」と確認をとった上で申請。 ↓ 約3ヶ月間、事務局から連絡は一切なし ・同10月:事務局から追加資料を求められ、提出。 ・同11月:事務局から追加資料を求められ、提出。 ↓ 約3ヶ月間、事務局から連絡は一切なし ・2021年2月:突然、「要件を満たせないので交付しない。ついては申請取り下げを願う」と事務局から一方的に連絡。やむなく申請を取り下げた。 【申請者の声】 「あれだけ資料を送ったのに結局要件を満たさないっていう理由で落とす。だったらもっと早く結論は出てたはずだと。ここまで待たされて、この結論にはまったく納得がいかなし、取り下げの意味もわからない」 <実例2:統括団体のプロ認定を無視> 【経緯】 ・プロ認定をする統括団体から認定番号を発行された対象者であるにもかかわらず、事務局から「対象外」として外された<実例3:採択結果の連絡が遅すぎて、申請取り下げ・公演中止に追い込む> 【経緯】 ・2020年12月5日:翌2021年2月17日に予定している公演に間に合うように申請。 ↓ 約1ヶ月間、事務局から連絡は一切なし ・2021年1月7日:事務局から訂正箇所の連絡があり、すぐに返信して対応。 ・同1月22日:事務局から訂正箇所の連絡があり、すぐに返信して対応。 ・同1月末:公演時期が迫っているのに「申請確認中」のままで事務局に連絡しても返信すらない。公演チラシなど準備していたが、補助金が交付されるか分からない状況では発注できない。 ・同2月1日:ギリギリまで待ったが、事務局から交付の連絡が来ないため、やむなく申請を取り下げ。2月17日に予定していた公演自体を中止。 <実例4:事業終了後に不交付連絡。大赤字を抱えた事業者を来年度の事業断念に追い込む> 【経緯】 ・2021年2月:事業の対象期限である2月28日までに公演を実施。 ・同3月:事務局から不交付連絡【申請者の声】すでに事業は終了していて、演劇公演の経費約100万円ほどは私個人の負担へと降りかかってきました。来年度も事業実施を考えていましたが、赤字が大きくなったため来年度は事業を行うことができなくなりました。<実例5:事業実施期限の1週間前に交付決定連絡。慌てて備品や外部委託を発注するも納品が間に合わなかったら支援対象外> 【経緯】 ・2021年2月21日夜:事務局から交付決定の連絡。すでに事業の実施期限である2月28日の1週間前。 〈*交付決定の連絡を受けた後、慌てて備品購入や外部委託を発注したが、納品が2月28日までに間に合わなかった。事務局からは「2月28日に間に合わなかった分は支援の対象外」と言われる〉  実例5点は以上である。  まるで道理が通っていない内容ばかりだが、これらは紛れもなく文化庁が文化芸術団体を支援する目的で行った事業の対応内容である。
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萩生田大臣から引き出した3つの答弁
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