入管が押しつける「偽名」。強制送還もされず、「仮放免」と「収容」の繰り返しに苦しむスリランカ人

このままでは、ダヌカさんは一生「仮放免」か「収容」で過ごすしかない

控訴審後にダヌカさんと話し合う支援者たち

2021年3月3日に開かれた控訴審後にダヌカさんと話し合う支援者たち。第三国移住についても話し合われた

 確かに裁判長の言いぶりでは、あらかじめこの日の結審は既定路線だったと思われる。あとは敗訴の判決を出すのだろう……。指宿弁護士は「即時抗告すると同時に、今回裁判所が原告の文書提出命令を却下したことで、これについては異議を出して認められたら裁判再開もあり得るのでトライする」とのこと。 「民事訴訟で当事者の意見も聞かないで判決が出るのは、あってはならないことです」(指宿弁護士)  もし同様の事例が欧米であれば、司法はこんな判断はしないだろう。また、市民も関心を寄せるだろう。「では英語で情報発信をしようか」と支援者が裁判後に話し合ったが、それもアリだと思う。ある意味での外圧は、この国には必要だ。  一つだけ言えるのは、このままでは、ダヌカさんは強制送還すらされず、一生を就労禁止の「仮放免」か「収容」のどちらかで過ごすしかないということだ。人の血が通った行政ならここまでのことはしない。だが、入管はそれをしてしまう……。  ダヌカさんと婚約者は今、機会さえあれば絶対に第三国で暮らそうと決めている。 <文・写真/樫田秀樹>
かしだひでき●Twitter ID:@kashidahideki。フリージャーナリスト。社会問題や環境問題、リニア中央新幹線などを精力的に取材している。『悪夢の超特急 リニア中央新幹線』(旬報社)で2015年度JCJ(日本ジャーナリスト会議)賞を受賞。
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