クラスター発生の東京入管。女性被収容者たちが手錠でつながれ移送。現場で何が起きていたか

部屋に閉じ込められ、毎日新しく別の職員が入ってくる

この施設に、25人の女性たちが移送された

この施設に、25人の女性たちが移送された

 2月15日以降、東京入管の職員と被収容者が新型コロナウィルスに感染している。当時105人いた男性のうち半分以上が感染してしまった(3月3日時点で58名)。以下は、被収容者たちの証言をもとにしたリポートである。  当時27名いた女性被収容者たちは検査の結果、かろうじて感染していなかった。しかしクラスターの起きている同じ建物内で、どこにも逃げ場はない。  部屋に閉じ込められ、シャワーの時は部屋ごとに使用することができた。しかし十分な換気はなく、あまり時間を置かず次の人に交代する。これで大丈夫なのだろうかと不安が高まる。  さらに女性ブロックには毎日、新しく別の職員が立ち入ってくる。感染の恐怖感は増すばかりだった。  長期収容者が多い中で、ストレスで心が擦り切れんばかり。ひたすら解放されることを願って、大声を出す人もいた。弁護士や支援者たちも「陰性者は極力、解放してほしい」と入管に訴えていた。  面会は禁止され、収容施設内では国際テレホンカードしか使えない。お金のない人は家族や支援者に連絡することもできず、支援者たちはカードのカンパを集めて郵送することしかできなかった。  去年4月にはコロナ対策で面会禁止にはなったが、そのかわりに外から電話をかけて10分のみは話ができた。しかし本当にクラスター化してしまった今となっては、それすらもできる余裕が入管にはなさそうだ。

陽性者は不衛生な部屋に隔離、一部が電話問診のみ

 男性は、基礎疾患がある2名だけは入院できた。残された陽性者は不衛生な部屋に隔離され、自分で掃除をするしかなかった。除菌アルコールすらももらえない。ほとんどの人は、検査はされても治療は受けさせてもらえず、一部の人が医者に電話のみで問診を許されただけ。ほかに市販の風邪薬を渡された人もいるが、まったく何の治療も提供されない人が大部分のようだ。  電話での問診については「顔色すら分からないのに、どうやって判断できるのか?」 と、被収容者は怒りを抑えることができない。  陽性者が「入管のせいでコロナにさせられた」と訴えると、職員に「マスクをしっかりしないからいけない」と理不尽な返事が返ってくる。被収容者は外に出たわけでもなく、ずっと収容施設にいるだけだ。被収容者の間から感染が始まったというのは考え難い。
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唐突に仮放免が却下され手錠で繋がれ移送となった女性被収容者
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ある日の入管~外国人収容施設は“生き地獄"

あまりにも非人道的な入管の実態を、マンガでリアルに描く!!