突然の仮放免却下、25人の女性たちは手錠でつながれ横浜入管に
3月3日、女性被収容者たちが横浜入管(東京入管横浜支局)に移送されることになった。ほとんどの人が1日前に、突然告げられた。当然、怒り出す人やパニックを起こす人もいた。職員は、それをビデオカメラに収めていた。
数人が横浜行きのすぐ前に仮放免を却下され、一人一人別室に呼び出された。そこには女性職員ではなく、大柄で地位の高そうな初老の男性職員がいた。その職員は、矢継ぎ早にどなりつけた。
「仮放免が不許可になったから、国に帰るか裁判をするしかない! 明日から横浜入管だからな!」
「なぜ、そのような喧嘩腰し言い方をするのか?」と問い返しても「終わり!!」と、恐怖感を与える高圧的な態度だったという。通常、仮放免不許可の場合は代理人の弁護士に連絡が行く。「直接告げられたのも、それが男性職員だったのも初めてだった」と、女性たちは納得できない様子だった。
25人の女性たちは2人ずつ手錠でつながれ、いくつものバスに分かれて乗せられた。職員には「渋滞すると1時間以上かかるから、前もってトイレに行っておいたほうがいい」と告げられた。
横浜入管では、キレイな部屋に当たった人はまだ良かった。案内された部屋によってはマットレスやドアに、誰かが吐いたような血が飛び散っていた。排泄物のような黄色っぽい塊もあった。
自分たちで必死に掃除をした後、職員に「消毒液を部屋にまいてほしい」と頼むと拒否された。理由を聞いてもただ「ダメ」と言われるだけだった。
横浜入管へは、新杉田駅からバスで約15分かかる
収容期間が5年以上といちばん長いタイ国籍のヤマザキさんは、すでに60歳を過ぎている。ただでさえ体が弱っているのに、横浜に移動させられたショックで、筆者が面会した時はずっと頭を抱えていた。
30年以上連れ添った日本人配偶者はさらに歳上で、介護が必要だ。地方在住で持病があるため、めったに面会に来ることができない。「自分が早く外に出て、1人で暮らしている夫の面倒を見なければならない」と焦りを見せていた。
フィリピンのマリベスさんも、収容されて3年8か月になる。マリベスさんが収容されているため、日本生まれの娘さんは児童相談所の施設に預けられていて、長い間会うことができていない。
「ママ、どこにいるの? いつも待っているのにこない」と言われてしまう。「必ず迎えにいくからね」と苦しさをにじませながら答えた。