迷走する「N国」。「選挙商法」もいよいよ曲がり角か

衆院選・広島3区にビジュアル系バンドを擁立

 NHK受信料を支払わない方法を教える党は、次期衆院選の広島3区に擁立する予定だった新藤加菜が離職に伴い、立候補を辞退したため、ほとんど名の知れていないビジュアル系バンド「ジャックケイパー」のベースで、落ち武者ヘアの矢島秀平を擁立すると発表した。  「早稲田大卒のインテリ巨乳美女」から「売れないビジュアル系バンドの落ち武者ヘアの男」への変更。まさに、今の「N教党」の実情をそのまま表しているかのような変更だが、立花孝志にとっては、新藤加菜より売れないビジュアル系バンドを擁立できている方が良い。というのも、売れないビジュアル系バンドは「売名目的」で立候補しており、供託金の300万円は事務所が負担する見込みだという。N教党から立候補するとなれば、専属広報紙である「東スポ」が記事にしてくれるし、河合克行の地盤だった広島3区のような話題性のある場所で立候補するとなれば、メディアが報じないわけにもいかないので、広告費と考えたら安いものである。立花孝志は、このような「売名目的の人」をどんどん集める戦略だ。  この戦略のメリットは、300万円の供託金を立候補者が出すこと。かねてから指摘している通り、現在、N教党の財政事情は非常に厳しいものがある。5億円以上の借金をしたものの、現在、N教党の銀行口座にあるお金は1億円を下回っているとみられ、4月の衆参補選にはそれぞれ候補者を擁立する計画らしいが、その後に行われる衆院選に用意できる供託金は用意できないのではないかとみられる。  参院選で得られる政党交付金は1票あたり約80円とされるが、衆院選で得られる政党交付金は1票あたり約45円とされる。300万円の供託金が没収されることはほぼ確実なのだが、300万円分の元を取ろうと思ったら小選挙区で6万6666票を獲得しなければならない。  これを広島3区に当てはめると、当選した河合克行の得票数は8万2998票、惜しくも敗れた塩村文夏(現・東京都選挙区選出の参議院議員)の得票数は6万1976票である。つまり、N教党の落ち武者が激戦の東京都で参議院議員に選出されるぐらいのポテンシャルを持つ元東京都議の美女を上回る票を獲得しなければ、政党交付金で300万円を取り返すことができないのだ。しかも、N教党の落ち武者が立候補してである。  どう考えても、300万円の供託金を取り戻すのは「無理ゲー」で、立候補すれば立候補するほど赤字になる。しかし、立花孝志としては、全国に候補者を擁立しなければ「落ちぶれた」と思われてしまうため、落ち武者が立候補している時点で十分落ちぶれているが、衆院選という4年に1度のお祭りを逃すわけにはいかない。「立花孝志、ここにあり」を示すためにも、候補者を擁立しないという選択肢はないだろう。そうすると、やはり300万円の供託金を払って「売名」する人間を集め、N教党が公認を出せば、少なくとも地元のテレビ局や新聞は扱ってくれるので、「宣伝費」と考えれば安いものだとして、広告費と考えて公認をもらいに来る、今回の「ジャックケイパー」のようなビジュアル系バンドは大歓迎になるのだ。候補者たちは存分に宣伝ができて、N教党には政党交付金が入る。かつては医師や弁護士などの高キャリアな人材だけを立候補させると豪語していたが、さっそく売れないビジュアル系バンドの落ち武者が立候補しているのを見ればわかるように、これだけコロナ禍で人々が苦しんでいても、国民のために何かをしようという動きは皆無なのである。

伊賀市議選に門田節代が立候補してくる

 トンデモ候補の嵐となっている千葉県知事選にこそN教党からの候補者はいなかったが、3月21日告示、3月28日投開票の伊賀市議選に、2019年の参院選で伝説の政見放送を残した門田節代が立候補してくる予定になっている。しかも、初日には立花孝志が応援演説に入ると宣言している。  現在、昨年4月の志木市議選で無投票当選を果たして以来、今日の今日まで「26連敗」となっているN教党。今年から議員定数が2つ減り、伊賀市議選の定数は22だが、2月1日に行われた説明会には30陣営が出席。現職17人、元職1人、新人10人の大激戦となる見込みだ。  NHK受信料を支払わない方法を教える党は、まだ地方選を諦めてしまったわけではない。この3ヶ月ほどの間に、伊賀市、尼崎市、魚沼市、三郷市などに候補者を擁立する計画だ。なお、あきる野市に立候補する予定の本間あきこについては、何の説明もなくホームページから情報が削除されているが、SNSには「堀江政経塾運営事務局の中の人です」という自己紹介になっており、もし「ホリエモン新党」から立候補することがあっても、N教党のセカンドブランドなので、N教党とほぼ同じものだと考えていいだろう。
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「N国」改め「N教」の未来は何処?
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