NHK受信料を支払わない方法を教える党のYouTubeチャンネルより
NHKから国民を守る党、改め、NHK受信料を支払わない方法を教える党、略して「N教党」党首・立花孝志の迷走が止まらない。
NNNと読売新聞が実施した3月の政党支持率では、自民党の支持率が40%、立憲民主党6%、公明党3%、共産党2%、日本維新の会3%、社民党1%、れいわ新選組1%、国民民主党0%となっていたが、なんと、NHK受信料を支払わない方法を教える党の支持率は「--」だった。これは何を意味するかと言うと、「N教党を支持する」と答えた人がガチで1人もいなかったという話である(0と表記されているのは実際には0.5%未満)。
かつては「悪名は無名に勝る」などと言って、反社会的な迷惑行為をバンバン繰り返していたN教党。確かに有名にはなったかもしれないが、その代わりに政党支持率が「--」で表記されるほど嫌われてしまった。このままではN教党に未来はない。そこで、「選挙の天才」を自称している立花孝志は、新たな奇策に打って出ることになった。
立花孝志と言えば、大のパチンコ好きで、かつては「パチプロ」だったと自称しており、全盛期には年収が軽々と1億円以上あったという「スーパーサクセスパチプロ伝説」も語っている。
NHK時代は、記者でありながら経理をこなし、なおかつ海老沢会長の右腕として秘書業務をやりながら、韓国から「冬のソナタ」を買い付け、プロ野球の放映権を獲得するため、球団社長と直接交渉してきたという「スーパーサラリーマン伝説」を自称する立花孝志なので、パチプロ時代の年収が1億円以上だったと語っていても不思議ではない。
そんな立花孝志が、新たな政党を立ち上げると発表した。その名も「
パチンコ党」だ。かつては「ゴルフ党」や「ホリエモン新党」を立ち上げたことのある立花孝志だが、今度は「パチンコ党」を立ち上げ、今年6月の尼崎市議選には候補者を擁立する計画だという。ただし、6月に誰が立候補するのかはまったく決まっていないようである。
立花孝志いわく、「パチプロはバカではできない」という。確かに、パチプロとして生きていくためには、負ける日があってもトータルの収支でプラスでなければならないので、どれくらい黒字になっているのかを検証し、情報を収集し、店の傾向などを熟知し、朝から晩まで台の前に座り続けるだけの根気が必要である。ただし、それらは政治家につながるスキルではない。
政治家として最も必要とされる能力は、言うまでもなく「国民や市民のために働くこと」である。この世のほとんどの職業が「誰かのために働く」という性質を持っていて、例えば、タクシー運転手であれば「どこかに行きたい人を送り届ける」という仕事だし、カフェの店員であれば「コーヒーを飲みたい人にコーヒーを提供し、作業をしたり会話をしたりする場所を提供する」という仕事だ。どれも「誰かのために働く」という性質があり、客を満足させて報酬を得ている。これをもっと大きくしたものが「政治家」という仕事であり、困っている市民のため、あるいは街を発展させて多くの人を幸せにするために働くものである。ところが、「パチプロ」というのは誰かのために働くものではない。客を得るためにある程度の当たりを出さなければならないというシステムを逆手に取り、自分のために利益を得るというものだ。これは「政治家」の本質とは相反するものである。つまり、仮にパチプロが有能だとしても、政治家として最も必要とされる「基本的な能力」を持ち合わせていないので、ただ税金でメシを食うだけの存在になる。元来、まっとうに働くことが嫌だからパチプロになっているので、自分のためでもなく誰かのために汗をかくことは、性に合わないはずだ。
では、なぜ立花孝志は次から次へと新しい政党を立ち上げるのか。それは国政政党にまでのぼりつめた「NHKから国民を守る党」という絶対的な成功体験である。NHKの受信料問題というニッチな需要を確実に取ることで年間1億6000万円を税金を蝕む国政政党になれたのだから、ゴルフやパチンコといった一定の顧客がいる業界のために働くと言えば、きっと投票してもらえるだろうと考えているのだ。しかし、今となっては立花孝志がどんな政党を作ろうと、「立花孝志が作った政党」という時点で、まったく支持されない。それは立花孝志という人間にまったく信用がなく、けっして国民のために働くような人間ではないことがバレてしまっているからだ。「パチンコ党」も計画倒れに終わることだろう。