最後に、
動画の勝敗を決める最重要要素が「音」。音のテクニックだけでも10通りはあるが、特に鎮目氏が強調するのは
BGMだ。
「バズりたければ、最も気を付けるべきなのは絵よりも『音』です。テレビでは
音が心地よいと、確実に視聴率に反映されていました。
たとえばニュース番組でも、リズムをきっちり刻んだ曲を流すと見られやすくなります。特にフラッシュニュースでは、気持ちいいリズムを流しておくと効果的でした。
また、
夜だとジャズ、朝はアップテンポな曲といったように、放映時間によってアーティストや曲調のセレクトを変えるることでも数字が上がりました。
そうした小さな工夫が視聴習慣に繋がっていくので、ぜひやってほしいと思います」
配信時間を選ばないユーチューブ動画でも、どんな人がどんな状況で見ているのか想定することが大事だという。
また、出演者の「声」も音のジャンルに属する。
「音声メディアは発信者と視聴者の距離感が近く、メッセージが深くまで届くと言われています。
動画でも、音声を上手く使うことで
『自分だけに向けて作られたコンテンツだ』と感じさせることができます。そのため、話し方や声質に最大限、気を遣ったほうが良いといえます。
声質の好き嫌いで左右されてしまうのも正直なところですが、落ち着いてちゃんと聞いてもらいたいときはゆっくりと低めに、テンションを上げるときは早く、高くすることを意識するだけで変わります。
印象的なフレーズや決まり文句も、視聴習慣に繋がります。食レポの場合は、映像では伝わりきらない、臭覚と味覚についても表現力できるとベストです」
上手いYouTuberは「フィッシャーズ」や「スマイリー」
そこで、参考になるのは
ラジオアナウンサーだ。
「ラジオアナウンサーはいかに言葉だけで情景を伝えるか日頃訓練しています。みのもんたさんを筆頭に、有名司会者に元ラジオアナウンサーが多いのも納得です」
以上の観点をもとに、鎮目氏の考える「上手いYouTuber」を挙げてもらった。
「まず編集が上手いと思うのは『
フィッシャーズ』。映像も綺麗に繋いであって、テンポも良い。音の性質をとてもうまく使っていると思うのはイラスト動画YouTuber『
スマイリー』。
また、子供向けの『
こたみのチャンネル』は絵と音のリンクが気持ち良く、可愛いテロップと加工で独自の世界観を醸し出している。ただ、子供向け番組は皆そうした演出になっているので、子供は内容よりも音や映像効果に惹かれて見ているのかもしれません。そういう意味で参考になると思います。
個人的に内容が好きなのは『
わっきゃい』ですね。テレビのパロディもすごく上手いし、内容もシンプルで笑える。プロが凝ってつくった動画よりも、あの程度のテンションが全然面白い。
プロに発注している動画の比率は増えてきていますが、完全プロに寄ってしまうと逆にしらけていくと思います」