コロナ禍でピンチの学生街――相次ぐ閉店、地方の学園都市では更に深刻

コロナ禍で苦境に陥る大学城下町

 新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、とくに苦境に陥っている地域の1つが全国各地の学生街だ。  大学や専門学校によっては、2020年度は「ほぼ1年じゅう遠隔授業」だったところも少なくなく、都内でもとくに高田馬場・早稲田界隈では店舗の撤退が続出。一部の老舗名物飲食店では、学生による経営支援の動きも起きている。  しかし、その閉店の勢いはとどまる気配が無く、なかには「サイゼリヤ(高田馬場西口店)」や「日高屋(高田馬場店)」、「磯丸水産(高田馬場店)」「天丼てんや(早稲田店)」などといったおなじみの大手有名チェーン店でも閉店に至った例が少なくない。また、影響は飲食店のみにとどまらず、早稲田大学近くでは「ブックオフ(早稲田駅前店)」が閉店したほか、池袋駅西口では立教大学近くにある大手ファッションビル「丸井(池袋マルイ、マルイシティ池袋)」が2021年夏での閉店を決めるなど、さらに大きな店舗にまで及び始めている。
池袋の丸井

コロナ禍のなか閉店を発表した池袋の丸井。閉店の動きは飲食店のみならず物販店、そして大手企業にも広がり始めている。

「学生とともに育て上げた観光都市」もピンチに

 コロナ禍による影響がさらに大きかったのが、全国各地にある地方の「学園都市」たちである。  日本最大の温泉地である大分県別府市もその1つだ。同市には立命館が運営する多言語教育大学「立命館アジア太平洋大学」や、明治時代創立の女学校を起源とする文系総合大学「別府大学」をはじめとして複数の大学・短大・専門学校などがあり、観光地・療養地という地域の特色を生かすかたちで「学園都市」としても成長を遂げてきた。
立命館アジア太平洋大学

別府市の高台にある立命館アジア太平洋大学。約6,000人の学生のうちほぼ半数が東南アジア出身者を中心とした留学生だ。

 かつて団体客で賑わった地として知られる別府温泉であるが、1990年代後半からは韓国人をはじめとした東アジアからの観光客が目立つようになり、そして近年はそうした時代も終わりを告げ、東南アジアや欧米など世界各国からの観光客が訪れる街へと変化した。とくに、近年は大型クルーズ船の寄港も増えていたほか、2019年に開催されたラグビーワールドカップでは、優勝候補であったニュージーランド代表が砂湯を体験したことが全世界へと発信されたこともあり、欧米での知名度が高まりつつあった。
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留学生が入国できない、バイト需要も激減
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