「ちゃんと治療をしてくれるのか」と聞いた感染者に暴行?
男性被収容者は、現在約4割がコロナに感染している。昨年コロナに感染したジャファリさんは、2度目の感染となってしまった。職員に「隔離するので部屋に出るように」と命じられ、「ちゃんと治療をしてくれるのか?」とジャファリさんが尋ねたところ、「部屋の移動だけだ」と職員は答えた。
「それなら行きたくない」と拒否すると、複数の職員に暴力を受けたという。
その光景を目撃した被収容者は、
「職員が部屋の電気を消して、暗闇の中でジャファリさんの腹を殴っているように見えた」と証言した。
ジャファリさん本人にも聞くと、憤りを隠せない様子だった。
「職員たちに殴る蹴るの暴力を受けて、部屋から引きずり出された。足や手首から血が出ていた。殴られた左胸の骨も痛くて、異常があるかもしれない。『レントゲンを撮ってほしい』と頼んでも拒否された。普段から車いすを使い、体の弱っている自分がなぜこんな目に合わされるのか。あまりにも入管はイジメすぎだ」
「いつクラスターが発生してもおかしくない」と弁護士は警告
2月20日からは、陽性者の部屋に監視カメラが置かれ始めた。入管はほとんどの陽性者をただ個室に閉じ込めているだけで、万全な治療をしているとは言い難い。被収容者の弁護人を務める駒井知会弁護士に、今回のクラスターの件で話を聞いてみた。
「18日には『弁護士も極力面会を控えてほしい、緊急であれば要相談』と言われました。今まで弁護士はそこまで規制されることはなかったのに、入管側も今回のことでよほど困惑しているのだなと感じました。
しかし、昨年からこういうことにならないように『解放できる人は早く解放してほしい』と再三言ってきたにもかかわらず、こんな結果になってしまいました。まだ今後も感染が広がる可能性があります。(被収容者の)家族からも、面会もできず『感染したらどうしよう』『心配でたまらない』との声を聞きます。
今日まで国際法違反の収容を続けて、入管庁が今回の事態について責任を感じていないのであれば大問題です。衰弱した人々、多様な疾病に苦しむ人々を密閉空間に長期収容している状態がいかに危険なことか。弁護士会を含む多くの団体が、過去10か月近くにわたって警告を発し続けてきました。
いつクラスターが発生してもおかしくないと警告し続けてきたのです。人々の命と健康を守るため、今回の事態の早急な解決はもちろん、違法な入管収容制度を直ちに改めてほしい。
現状は『精神的拷問』に近い状態ととらえています。
国籍にかかわらず、地位にかかわらず、陽性反応を示したすべての人々に必要な治療と体調改善のための適切な対応をするべきです。そして、感染していない人についても、極力速やかに解放することを望みます」