五輪延期でライフプランが狂った!選手村マンション購入者たちの悲痛な声。「余生を親子一緒に過ごすはずだったのに…」
「文句あるなら解約すればいい」では解決しない
至極まっとうな要求ではあるが、民事調停の申し立てに関してはネット掲示板やSNSでネガティブな反応が起きている。批判に共通するのは「文句あるなら解約すればいい」という論理だ。デベロッパー側は引き渡し延期により「契約をキャンセルすれば手付金を全額返金する」とアナウンスしているからだ。
しかし、そんな単純な問題でもない。二重で住宅ローンを組めないため、現役世代の購入者の多くは先に住んでいる物件を売却し、入居までの間は賃貸に住むケースが多いからだ。解約すれば、予想外の出費が嵩んでしまう。
さらにこんなケースも。民事調停の申し立てに加わった30代の男性契約者も話す。
「私の父親は仕事で海外に出ていることが多く、普通の親子と比べると一緒に暮らした時間が短かった。そんな父親も60代半ばとなり、余生を親子一緒に過ごせないかなとかねがね思っていたところ、運よくこの物件(約1億円・110㎡)の抽選に当たった。父親は退職して帰国することを決め、私も恋人と結婚して父と母、私と妻の2世帯で入居する予定でした。
しかし、デベロッパーの一方的な決定で、そうしたライフプランが崩れ去った。母親は私がそばで世話をしなければ生活が難しいという事情があるのですが、都心で大人4人がゆとりをもって生活できる住居は意外と少ないので、解約も難しい。まさに路頭に迷っている状態です」
ほかにも、子どもの小学校入学に合わせて購入を決めたのに、延期となった1年間だけ別の小学校に通わせ、転校させなければいけなくなったケースもあるという。
不動産バブルの崩壊で買い替えが難しくなる

昨年11月、選手村を視察し選手に語りかけるIOCバッハ会長 写真/時事通信社/TOKYO 2020
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