これより以前の2020年の日韓ワールドカップ以前から、ジーコ監督の前任のトルシエ元日本代表監督との確執なども一部のファン・サポーターの怒りを呼んでいた。ジーコ監督は川淵氏の一存で決めたことも公言していたため、ファンからはこの素っ頓狂な「オシムって言っちゃったね」発言で怒りが爆発した形だ。
川淵氏は、この時点でJリーグを9年、日本サッカー協会を5年と、日本サッカーのトップの座をあわせて14年も務めていた。そのために「独裁者」との批判が渦巻き、サッカー協会のかつての仲間であるOBからも、晩節を汚すようなことがあってはならないと批判を浴びる始末だ。
それに怒ったサポーターは、なんと「川淵解任デモ」まで行った。
主催者発表で約1,000人のファン・サポーターが「川淵やめろ」とサッカーサポーター特有のコールを連呼して、日本代表戦終了後の国立競技場のある千駄ヶ谷周辺を練り歩いた。デモ隊がもつプラカードには「老害」の文字も見えるが、実は15年前の時点で川淵氏は老害扱いされてしまっていたのだ。
川淵氏はこの時に個人会社と日本サッカー協会との関係が不適切ではないかなどを詮索されるなどもしてきており、2008年まで会長職を任期満了までつとめたが、ここでサッカー界ではお役目を果たすことになった。
川淵解任デモ主催者の一人は今回の会長就任をどう見る?
この川淵氏の批判の急先鋒だった「川淵解任デモ」の主催者のひとりに、今回の東京五輪の組織委員会会長就任について、15年ぶりに川淵氏のことを聞いてみた。
「あの川淵解任デモは、ワールドカップ敗退があまりにも残念過ぎて、その純粋な怒りがあったからできたものでした。その時は批判しすぎるくらいに批判してきましたが、もちろん川淵さんのこれまでの実績や手腕を全て否定しているわけではないです。今回の人選も悪いものとは思わないし、僕としてはお手並み拝見というところですね」
意外な回答であるが、あの当時批判したものすら川淵氏の力量をスポーツ界では認めるひとが多いということだろう。