服役中の囚人がかつて強盗を働いた銀行の頭取に手紙を送ったところまさかの返信が

2度目の懲役だったフーリオ

 手紙を書いたフーリオだが、実は刑務所を一度出所している。  2012年に刑務所から出所して付き合っていた女性とバスクのギプスコア地方のある都市に住み始めた。そこは彼にとって初めての都市であった。それまでの麻薬中毒者だった自分から解放された気持ちで人生の再出発を図った。ところが、彼女は彼と別れた。彼は全く頼る相手もいない都市にひとり残されたのであった。孤独な生活に経済的にも問題を抱えるようになっていた。また麻薬にもまた染まった。お金が必要になっていた。そこで唯一彼がうまくできることは銀行を襲うことであったということで、彼は再び銀行強盗になったのである。  しかし、彼自身が頭取に宛てた手紙の中で自供しているように年齢とともに犯罪を犯している時の動作が緩慢になっていた。結局、つかまって再び刑務所に収監となって現在に至ったということなのである。彼が入った刑務所はそれまで3カ所に及んでいた。そして現在ブルゴスの刑務所に服役中だ。

銀行強盗懲役囚の元に届いた「返信」

 頭取に手紙を送って2か月が経過した1月29日、彼の元に、なんとアナ・パトゥリシア・ボティン頭取から返信が届いたのである。しかも、その手紙の中で彼の希望が叶えられるように被害を受けた行員を調べて彼と面談する用意がある行員を探すことを約束したのである。  その約束がついに実現した。2月5日、2014年に襲った銀行支店の行員のひとりとの面談が実現したのである。  この行員は、唯一フーリオとの面談を受諾した人物だという。他の行員の多くは、まだ精神的なショックから立ち直っていないというのを理由に面談には参加しなかったそうだ。  当時、この行員は、襲われた銀行の窓口を担当していたそうだ。現在の彼は支店長に昇格している。フーリオが襲った日に彼はバケーションの開始日であったが、その銀行の仲間とコーヒーを飲もうということでたまたまその支店にいてその仲間の休憩時間が来るまで待っていた。丁度その時、フーリオが一人相棒を同伴してしかも手には拳銃を持って中に入って来たのである。ちなみに、あの時のフーリオの振る舞いを記憶していて乱暴な行動を取らなかったということを公判でも発言していたという。
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襲われた銀行の窓口職員が元強盗にかけた言葉
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