また、2016年頃からネットや婚活情報サイトで現代を象徴するとされているのが「3生」だ。トラブルが起きても対処ができる生存力、精神的・経済的自立を意味する生活力、困難な状況の中でも何かを生み出せる生産力。つまり、どんな状況でも生きていけるサバイバル力が求められるようになった。
特にこのコロナ禍において別の意味での生存力、つまりは健康の維持は大きな要因になっていると言っても過言ではないだろう。
ここに「普通の男性」という概念がいかに作用するのかというところは未だ議論の余地があるが、男女問わずそれぞれの社会経済的価値観が似合う相手を前提とするのならこの「3生」という条件は人間力に重きを持つものとしては有効なのではないだろうか。
まず前提として男女が共働きをするということもあるが、建設的な家庭の構築には双方の協力関係が不可欠である。どちらかがどちらかに依存するのではなく、双方が積極的に助け合う事が理想とされるべきだ。
未だ過度に理想化されながら語られることの多い「結婚」。しかしその実態は二者間の協力関係である。外見や、社会的ステータスに左右される事なく個々の人間性の一致、そして常に相手を尊重し助け合っていこうという心持ちが何よりも大切なのではないだろうか。
【参考文献】
小倉千加子(2003)『
結婚の条件』朝日新聞社
佐藤信(2019)『
日本婚活思想史序説』東洋経済新報社
三島光世(2019)『
「普通」の結婚がなぜできないの?』WAVE出版
<文/小高麻衣子>
ロンドン大学東洋アフリカ研究学院人類学・社会学PhD在籍。ジェンダー・メディアという視点からポルノ・スタディーズを推進し、女性の性のあり方について考える若手研究者。