夕張市のリゾートを失い、中国系企業を儲けさせただけ!? 強まる鈴木直道・北海道知事への不信感

2.4億円で売却したリゾートが15億円で転売され、その後破産

菅官房長官(当時)の全面支援で2019年4月に当選した、鈴木直道・北海道知事

菅官房長官(当時)の全面支援で2019年4月に当選した、鈴木直道・北海道知事

 2019年の北海道知事選で、同じ法政大学卒の菅首相の全面支援を受けて初当選した“菅チルドレン”、鈴木直道・北海道知事への不信感が強まっている。 「夕張再建をした若手市長」を旗印に道民の期待を受けて就任した鈴木知事だが、夕張市長時代に中国系企業に2億4000万円で売却した夕張リゾート(マウントレースイスキー場、ホテル)が、香港系ファンドに15億円で転売された後、2020年12月に営業停止・廃業・破産申し立てを行うことが発表されたのだ。  地元・夕張市で鈴木市政(2011年4月~2019年2月)を問題視してきた熊谷桂子市議(共産党)はこう話す。 「30年以上の歴史のあるスキー場やホテルを抱える『夕張リゾート』は、地元観光振興の中核的施設で、市内最大の雇用の受け皿。だから2017年に中国系企業『元大グループ』に売却する際、鈴木市長(当時)は『長年の営業継続が前提の話』と市議会で説明、固定資産税免除も決めていました。その約束が破られたのだから、中国系企業や香港系ファンドに抗議し、営業再開や買い戻しを求めて直談判するなどの行動に出るべきです。しかし、鈴木知事は何もしていないのです」

約束を破った中国系企業に対して、鈴木知事は何の行動にも出ず

熊谷桂子・夕張市議

鈴木知事が市長時代に説明していた「長年にわたって営業継続という約束が破られた」と話す、熊谷桂子・夕張市議

 中国系企業「元大グループ」(呉之平=ご・しへい=社長)が得た転売益は、推定で10億円以上。2020年12月25日の『財界さっぽろ』のオンライン記事には、地域と密着した経営戦略を語っていた呉社長の、買収当時のインタビュー記事(2017年6月号)が再掲載されている。  しかしその2年後の2019年3月にスキー場とホテルは香港系ファンドに転売され、鈴木知事が市長時代に交わした約束は反故にされてしまったのだ。  しかし鈴木知事はこの時、呉社長に「話が違う」「騙したのか」などと抗議することも、転売先の香港系ファンドに「長年の営業継続」を求める直談判をすることもしなかった。すでに選挙戦に突入していた北海道知事選で「夕張再建」の成果をアピールしていたというのに、自らが招いた“地元の危機”からは目を背けていたのだ。
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リゾート施設を失い転売企業を儲けさせただけの夕張市
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