結局、夕張市はリゾート施設を失い、転売した中国系企業を儲けさせただけ
中国系企業から香港ファンドに転売された後、2020年12月に破産・休業することを発表した「夕張リゾート」のホテル「マウントレースイ」
『財界さっぽろ』2月号(1月15日発売)が「19年春の知事選では、インターネットニュースを中心に『売却時の条項に5年間の転売禁止などを盛り込まなかった』『外資にもうけさせただけ』などと、鈴木氏に対する批判の声があがっていた」と指摘したのはこのためだ(2019年5月2日の筆者記事
「北海道版“モリカケ事件”!? 自民推薦の鈴木知事に中国系企業への利益供与疑惑 夕張市観光施設を格安で中国系企業に売却、その企業は転売で巨額利益!?」参照)。
鈴木知事の市長時代の決定で、結果的に中国系企業に10億円を貢ぐ形になったとしても、「長年の営業継続」の約束が香港系ファンドにも引き継がれていれば、地元に大打撃を与えることはなかっただろう。
しかし、突然のスキー場の営業停止で、雪質のいい歴史あるスキー場に常連客が通い続けることも、全国的に有名なインストラクターが指導する合宿・スキー留学などを継続することもできなくなってしまったのだ。
都庁職員として夕張に派遣された縁で市長選に出馬して初当選、そして2期8年の実績をアピールして知事となった鈴木氏にとって、夕張市は“第二の故郷”のような存在のはずだ。自らを政治家として育て上げてくれた地域がピンチに陥っても、自らの失敗を挽回すべく奔走しないというのは不可解だ。
JR北海道石勝線(夕張支線)の夕張駅。2019年4月1日の夕張支線廃止とともに廃駅となった
その後ようやく、鈴木知事がこの問題について言及した。2020年12月28日の会見で、夕張リゾート経営破綻について
「驚きとともにたいへん残念と思っている」と語り、次のように続けたのだ。
「年明け早々に夕張市と国と道と連携した中で、プロジェクトといったものを立ち上げられるように、いま準備をしているところです」
そこで年明けの1月21日に道庁を訪ねて、年明け早々に立ち上がっているはずのプロジェクトについて聞いてみると、
「プログラムの間違いではないか」との回答。「夕張リゾート再生プロジェクトチーム」といった看板が掲げられた部屋で、夕張市と国と道の職員が活動を開始しているという私の予測は外れた。
結局、すでにある
「雇用危機対策推進事業(緊急雇用対策プログラム)」を道庁がスタートさせたのは1月22日。その中身は、経営破綻で仕事を失った
「離職者等の再就職の促進に向けた活動を支援」する弥縫策にすぎない。
夕張市内最大の雇用の受け皿だった「夕張リゾート(スキー場やホテル)」営業再開に向けた抜本的解決策ではまったくなかった。
「『やっている感』演出でお茶を濁した」「自らの失敗への結果責任を取っていない」と批判されても当然だ。