筆者のYouTubeチャンネルより
実に370億円もの予算を計上した「
コロナ禍における文化芸術活動支援」。これらを含む
第3次補正予算は2021年1月28日の参議院本会議で可決されたが、その支援内容は芸術文化の現場が求めるニーズとあまりにかけ離れている。
可決前の同日、共産党・小池晃議員は参議院 予算委員会にて萩生田光一文科大臣や梶山弘志経産大臣に質問し、その問題点を浮き彫りにした。
本記事では、この小池晃議員の8分間に渡った計5問の質疑を一字一句漏らさずにノーカットで信号機で直感的に視覚化していく。具体的には、信号機のように3色(
青はOK、
黄は注意、
赤はダメ)で直感的に視覚化する。(※なお、色表示は配信先では表示されないため、発言段落の後に( )で表記している。色で確認する場合は本体サイトでご確認ください)
小池晃議員からの質問5問に対する両大臣の回答を集計した結果、下記の円グラフのようになった。
<色別集計・結果>
●
萩生田文科大臣(計1342字):
赤信号45%
黄信号51%
青信号1%
灰色2%
●
梶山経産大臣(計258字):
黄信号95%
灰色5%
*小数点以下を四捨五入しているため、合計は必ずしも100%にはならない
萩生田文科大臣の回答(青信号)はたったの1%。梶山経産大臣は0%。つまり、
両名とも質問された内容に全くと言って良いほど回答していない。いったいどのような質疑だったのかはこれから詳しく見ていくが、先に概要をお伝えすると、両大臣の赤信号と黄信号の内容は
既に周知の内容(第3次補正予算の内容など)を原稿通りに読んでいるだけである。質問と回答は基本的に成立していない。従って、時間がない中でポイントだけ理解したい読者の方は、両大臣の赤信号と黄信号の答弁は全て読み飛ばして、小池晃議員の質問内容と筆者の補足説明だけを読んで頂いたとしても、本記事から得られる情報は大差ないと思われる。約1600字に及んだ答弁の中で、新たな情報と言えるものは、最後の5問目に対する萩生田文科大臣の回答(=わずか1%の青信号にあたる部分)のみであった。
*記事中の動画リンクが表示されない配信先で読んでいる場合、動画は筆者のyoutubeチャンネル「
赤黄青で国会ウォッチ」で視聴できます
文化施設の努力に政治が応えると明言できない萩生田文科相
文化芸術への補償に関する質問を始めるにあたり、まず小池晃議員はWeNeedCultureが実施した「
文化芸術に携わる全ての人の実態調査アンケート」の内容を紹介しながら、この業界への補償を訴える。その質疑は以下の通り。(下記の動画リンクの0分44秒〜)
小池晃(1問目):
『そして、芸術文化。ここは休業要請ではなく働きかけで協力金の対象にすらなりません。徹底した感染防止対策をやってきた結果、全国の映画館ではこれまで1件の感染事例も報告されていません。劇場やライブハウス、クラブでも昨年7月以降、観客などのクラスターは発生しておりません。広範な文化芸術団体が参加をしたWeNeedCultureのアンケートで「上演を企画する際に躊躇する要因」は何か。81.2%が「観客の感染リスク」だと回答しています。何の補償もないのに自粛をする。自分の暮らしが困っているのにお客様の安全を優先する。涙ぐましい努力じゃないですか。大臣、この努力に政治は応えるべきではありませんか? お答えください。』
萩生田光一文科大臣:
『
えー、文化芸術はコロナウイルス感染症対策を率先して行ってきた分野であり、ご指摘の点については文化芸術関係者における業種別の自主ガイドラインの策定とその遵守。チラシやホームページ、会場等における観客の方々に対する周知など、これまで徹底した感染症対策にご尽力頂いてきたことの成果のあらわれであると考えております。文化芸術の灯を絶やすことが無いように取り組んでこられた皆様に深く敬意を表します。(
黄信号)
引き続き、文化芸術関係者における感染症対策の取り組みが十分に実施された上で文化芸術活動が行われるよう文部科学省としてもできる限り取り組みを進めてまいりたいと思います。(
赤信号)』
この1問目の回答の中身を確認すると、1段落目は周知の事実(文化芸術の感染症対策の成果)を述べているだけであり、黄信号とした。次の2段落目は以下のように論点をすり替えており、
赤信号とした。
【質問】文化芸術の補償
↓ すり替え
【回答】文化芸術の感染対策の支援
小池晃議員の質問はシンプルなものであったが、
萩生田文科大臣の口からは回答と解釈できる内容は一言も無かった。