実は、こうしたHYIPの被害者などを狙った新たな商品も登場している。前出のT氏が話す。
「PGAの損失を『M』で取り返したとSNSで発信している人がいたので、釣られて5万円だけ投資してみたんです。
そうしたら1か月で50%近くのリターンが出たのですが……1月半ばからサービス停止になってしまいました」
「M」は昨年夏に登場した「P2P系」と呼ばれる新種の投資案件の一つ。
その仕組みは少々難解だ。まず、投資家はUSDT(1USDT≒1ドルに固定された仮想通貨)などで運営者に一定の手数料を支払って抽選に応募。当選すると、あらかじめ「7日後に15%の利益を上乗せして売れる」などと設定された“アイテム”の購入が可能になる。7日後には自動的に買い手が現れ、投資家はアイテムの転売で15%の利益を得る。
このような転売を繰り返すことで、高利回りを狙うのだ。投資家同士でアイテムの売買と金銭のやり取りを行うところが、P2P(個人対個人)系の肝。
実際にP2P案件の運営に携わる人物が話す。
「運営にお金を預けないっていうだけでユーザーは安心する。それでいて高利回りが狙える。ウチのには月利150%超の人もいる。
より高値で売れるレアアイテムを入手できれば利回りが跳ね上がるというゲーム性もあって、急速にユーザーが増えています」
一見、魅力的だが、その実態はハリボテだ。参加者が減少に転じた瞬間、アイテムの買い手不足から転売不成立が続出するためだ。
「実際、『M』は売り手と買い手のマッチングが成立しても、買い手が代金を払わないというトラブルが続出して停止中。
別のP2P案件も昨年12月にメンテナンスを実施すると発表して以降、ずっと売買できない状況。
ただ、仮にこのまま破綻しても運営者は『マッチングの場を提供しただけ』と言い逃れできるため、詐欺などで訴えられることはないでしょう」(同)
このP2P案件における運営者の収益源は抽選とマッチング時に発生する手数料だという。
だが、実際には「運営者が自身で管理するユーザーアカウントを用意すれば、投資家にレアアイテムを売りつけて直接お金を巻き上げることも可能」(同)。
急増するP2P案件は、HYIP以上に狡猾でリスキーと言っていいだろう。